第957話 続・おとり捜査
アレルバレルの世界で『九大魔王』の『リーシャ』に敗れてしまった『セルバス』だが『
総帥ミラの招集の前にこの世界に目をつけていた為、この世界に作って置いておいた『
『
ひとまず大魔王『セルバス』はこの世界の実効的な支配の足掛かりを作る為に『
彼はこの世界にヌーやソフィが居る事など分かる筈もなく、何の警戒もせずにソフィ達の居る屯所へ向かう事となるのであった。
……
……
……
そして護衛隊の屯所に居るソフィ達は、捕らえた『
……
……
……
そしてソフィの言いだした作戦通り、捕らえた男を『
「よし、ではこれからお前を釈放する。分かっているとは思うが、仲間達に俺達が見張っている事を気づかせるなよ?」
「あ、ああ……勿論だ! お、俺だってまだ死にたくねぇし、組織の連中には人攫いだった事はバレてねぇと言って、喧嘩沙汰で捕らえられたと伝えるよ」
コウゾウの言葉を受けて、隣に立つヌーを一瞥しながら慌てて、そう告げる人攫いの男であった。どうやらヌーの顔を見た時の男の怯える様を見るに、余程『ヌー』に仲間達を殺されたことがトラウマになっているらしい。
早くこの場から去って、もう二度と関わり合いになりたくないとこの『
「よし、お前は釈放された後に直ぐに組織の連中が接触しやすいような、
「分かっているさ『ミヤジ』の兄貴か組織の連中に声を掛けられた時点で、あんた達に合図を送るから、その後はアンタ達に任せるからよろしく頼むよ」
「すでに護衛隊の腕利きの連中が、旅籠町の隅々に配備されている。旅籠町を出る前に、お前に近づく男は全員マークさせてもらう」
この町の護衛隊はただの人間達ではない。全員がサカダイの『
『
――問題はこの『
あくまでソフィ達はヌーのやり過ぎた行為を償う意味を兼ねて、逮捕に協力をする事となり、横に居るヌーも渋々とだが協力に合意した。
だが、問題は『
ソフィは最初『ケイノト』の町で食事をしていた時に見た、ヌーの行いはあくまで気まぐれを起こした程度に考えていたのだが、その後のヌーのテアに対する行いを見ていたり、エイジから酒場でのヌーとのやり取りを聞いたソフィは、テアをどうやら単に気まぐれで溺愛のように可愛がっているのではなく、どこか頼りにしているような、家族やそれに近しい物をテアに抱いていると、そんな印象を受けているのであった。
そしてそんなテアを攫おうとした連中をこれまでのヌーを知っているソフィが、屯所の地下で行った行為で終わらせるとは思えなかった。
あくまであれは、実行犯に対する仕置きであり、実行を促した連中が見つかり次第、再びヌーは処刑に動き出すだろう。どう転ぶかはその時になってみないと分からない。
しかしソフィはあくまで今回の協力は『
その同じ気持ちを抱いているヌーに対して、ソフィは止める事は出来ない。もしもソフィであったならば彼自身でさえ何をするか分からないからである。
今回ばかりはソフィは、ヌーがどういう行動にでようとも静観すると決めたようであった。
(しかし、テアもヌーも互いをここまで想い合っておるとはな)
テアの気持ちも宿で魔神を通して聞いたソフィは、互いの関係性を理解しており、これまでのヌーを知るソフィ自身がどこか安堵している事に気づいて、よく分からない感情を抱く自身に笑みを浮かべるのであった。
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