第867話 未来を予見する野心家
「一体どういうつもりだ?」
エイジがシュウに向けてそう告げるとシュウは首を傾げる。
「エイちゃんが何を言っているか分からないな」
「とぼけるんじゃない、ソフィ殿達の事だ。何故ソフィ殿達をゲンロクの元へと向かわせる?」
エイジが本音をぶつけると誤魔化すような態度をとっていたシュウは、一度だけエイジから顔を背ける。やがて背けた顔を戻すと静かに口を開き始めた。
「俺はねエイちゃん、エヴィという少年が現れた時から、転機が訪れたと思ったんだよ」
「何……? 転機だと?」
「『
「『ゲンロク』や『サテツ』の事を言っているのか」
エイジの出した名を聞いて、シュウはコクリと頷いた。
「サイヨウ様が居なくなった後、今の『
「まず
「長きに渡ってこの世界の妖魔討伐を引き受けてきた『
「……」
……
……
……
彼らの話を気配を消して聴いていたソフィは、現在の『
この世界に来てから『
確かに同じ妖魔を相手に討伐する役職のようなものなのだとしたら『
確かにその世界に生きる者達の力関係は、時代が変わるにつれて移り変わっていくものである。
いや、もしかすると自然にその流れになったのではなく、先程から話題に出ていた野心を持っているという『ゲンロク』と呼ばれる男が、時代のせいで妖魔退治出来るものが少なくなったのを見越して『退魔組』なるものを作り『退魔士』を増やして、今の自分の地位を作り上げようと画策していたのかもしれない。
『ゲンロク』という男とはまだ会ったことが無いソフィだが、全て計算していたとするならば、油断ならない男なのかもしれないとソフィはそう考えるのだった。
……
……
……
「しかしソフィ殿達をゲンロクの所に向かわせる事と、その事に一体何の関係があると言いたいのだ?」
「ソフィ殿に『退魔士』達が使っている新たな術式、その事を伝えた時ソフィ殿は恐ろしい形相をしていただろう?」
「ああ、どうやら彼は『式』にされた妖魔が、あの新たな術式で強引に従わされている現状を知っているようだったからな。サイヨウ様の教えでもある『
「そうだ。そんな彼が『ゲンロク』と出会えばどうなるか、火を見るよりも明らかだとは思わないか? エイちゃん……」
「お主、まさか……。それが狙いでソフィ殿とゲンロクを会わせようというのか!」
どうやらシュウという男はソフィという存在が、長屋の中で見せた怒りを見た時に自分のような『退魔士』やエイジのような『
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