第829話 退魔士と妖魔召士
「シクウの野郎や『下位退魔士』ならいざ知らず『
不機嫌極まれりといった様子でサテツは怒鳴り声をあげる。この場に現れた時から機嫌は良くは無かったが、ミカゲの報告で更に機嫌は悪くなったようである。しかしミカゲにしてみればどうしようもない。現実に起こったことを述べているだけなのである。もしこれでサテツの機嫌を窺って報告をせず、既にやられているタクシンの事が情報として明るみに出たならば、それこそ何故報告をしなかったと問い詰められてしまい、下手をすればミカゲは命の危険すら感じなければならなくなるだろう。
「し、しかし、森に現れた二人組は信じられない程の強さなのです。私の式である『
先程までのミカゲの報告に苛立ちを隠し切れなかったサテツだが、そのミカゲによって話される『
どうやら単にミカゲ達が不甲斐ないワケでは無く、その二人組とやらの妖魔だか、悪魔だか魔族だかがミカゲの話によればタシギ達の戦力値を大きく上回っている可能性が出てきたからである。
どうやらこのサテツという男は、実力以上の妖魔を相手に全力で戦って敗北した部下に対して、怒り散らかすだけの器の小さい男では無いようであった。
「お前の『
そう口にしながらサテツは今も戦場に残っているタクシンも下手をすれば、やられているかもしれないと考えるのだった。
「……」
サテツの言葉に否定をせず、思案顔を浮かべながら無言となったミカゲ。その様子にサテツは溜息を吐いた。どうやらその二人組は本当に無視の出来ないようだとサテツは渋々と言った様子で、仕方なく対処を検討し始めるのだった。
「イツキ、予定変更だ。イダラマの捜索にあたらせている『イバキ』達を呼び戻せ。そして直ぐに
「分かりました。サテツ様」
サテツの命令にイツキは直ぐに行動を開始する。
「ミカゲ、他に何か知っている事があれば言ってみろ」
「は、はい!」
ケイノトの町は退魔組衆を中心にこれ以後、徐々に慌ただしくなっていくのだった。
……
……
……
ケイノトを本拠地として活動をする退魔士組衆は、元々は『
これまでの『ノックス』の世界では、そういった者達は例外なく一般の人間の職業につく事となり、元々『
だが、少し前に多くの妖魔達が徒党を組んでケイノトを襲撃するという『妖魔団の乱』という事件が起きた。この事件は最終的には、歴戦の『
そしてその時の出来事によって、元々軋轢があった『
現在はケイノトに『
そして『
ケイノトの人間達は毎日いつ妖魔達が再び襲ってくるか分からず、また自分達を守ってくれる筈の『
そこでケイノトの現状を懸念に感じた『
ゲンロクはケイノトで『
当初ゲンロクは集めた者達を『
どうやら『
彼らが曰く一度『
そこでゲンロクは仕方なく『退魔組』という名目上は『
それこそが『
――昔の『
……
……
……
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