第796話 魔人の力の開花
「!」
「どうやら
リディアの困惑している様子にフルーフは、横に並び立っているエルシスにそっと呟く。
「思い描けたようだね? 今度はその想像を絶する程の力が、自分以外の誰かにぶつけられているところを想像してみてくれるかな」
リディアは言われた通り、鬼女の『
「キミの中で描いた想像の登場人物はどうなった?」
「頭上から振り下ろされて頭が潰されたな……」
リディアの言葉に隣で聞いていたレアは『想像力が豊かなのねぇ』と呟きながら感心をする。
「キミが想像したその
鬼女の『
そのおかげでリディアは『
「自分が想像出来る恐怖のその力を
リディアはエルシスに言われた通り、その想像を絶する力『
そしてその持っている『
「その暴力的なまでの『力』を自分が使うところを想像出来たなら、今度はその『力』の行く先を再び自分に照準が当たるように想像してみるといい。先程までより具体的に生じる被害。つまり自身が与えられる被害が想像出来る筈だ」
隣で聞いていたフルーフやレアも、エルシスの説明を聞いて直ぐに意味を理解して、ほぼ同時に感心するのだった。
最初にリディアが恐ろしいと思える力の正体に鬼女の『
そしてそれは同時に金色の体現の感覚を覚えていないリディアに、鬼女『
その力が具体的にどのような物かは『
文頭にあるように『
理論的にはフルーフの告げた自身を客観的に捉えながら『魔』では無く『力』の依り代となる物を連想し、自身の身体に宿らせるようにイメージし『イメージした自分』を生み出した後、そのイメージした物を両手で握り潰すように意識を集約させるという事を代案を使いリディアに理解させられた筈である。
後は本当にフルーフが言う通りに『スクアード』という能力が体現出来る方法が正しければ、リディアがこの理論の理解が行き着く事で無事に『スクアード』を体現させる事が出来る筈である。
「……」
リディアは目を瞑りながら考え始める。すると先程は自身に『
いつもの二振りの刀では無く、生み出されたのは一本の紅い刀。
しかし特筆すべきは刀の方では無く、持ち手であるリディアの方だった。
リディアの周囲には、金色のオーラが体現されているのだが、そのリディアの目は『紅色』に変貌している。
「むっ……!」
フルーフはすぐさまレアの前へと転移し魔力を高める。
「大丈夫だよフルーフ。こうなる事は予測していたからね、既に周囲に結界を張ってあるよ」
「えっ……? えっ?」
何が起きたか分からないレアだったが、突然目の前に自分を守るように立つフルーフと、その前に緑色の膜のような『結界』がレアやラルフ達を覆うように纏われている事にようやく気付くのだった。
「……素晴らしい」
意識せずにソフィはリディアを『
今のリディアは先程までのリディアとは、比較にもならない程に周囲に圧を発していた。
「これは想像以上だったね、今の段階でここまで強くなるか」
「ふむ、魔人の秘術と呼べる技に先天性の金色を体現しておるのだ。それにしても人間にしておくのは勿体無いな」
「おや? それは人間を馬鹿にしているのかな?」
「クックック、いやすまぬすまぬ。そういえばお主も元々は人間だったか」
フルーフとエルシスはリディアの急激な成長を肴に掛け合いを饒舌に行うのだった。
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