九大魔王の護衛編
第663話 フラストレーション
その頃『煌聖の教団』に属する本隊の数万の兵隊を引き連れて『リザート』は静かに行動を開始した。
「お前達! これから『高速転移』で一気に中立の者達を背後から襲撃する『高速転移』で『
「「御意!」」
彼の目的は中央大陸にあるソフィの魔王城に向かっている『ステア』や中立の者達を襲撃して『ソフィ』と合流させる事を防ごうというものであった。
この世界に居る『煌聖の教団』の者達も本隊である為、その一体一体が『大魔王中位』領域以上である。
九大魔王のイリーガルとリーシャという猛者が護衛についているとはいっても、ソフィの配下につく事を決めた『ステア』達を守りながら数でも勝る『煌聖の教団』の襲撃を防ぐことは不可能なはずである。
ここで確実に相手の戦力をそぎ落として『ミラ』達の計画をスムーズに進めようと、リザートは考えるのだった。
数万の魔族達が一斉に『高速転移』で移動を開始し、みるみるうちに『イリーガル』達に近づいていく。
そしてそれはステア達を連れて、通常の速度で中央大陸へ向かっていた『イリーガル』達も気づくのであった。
「もうすぐここに多くの者達が来るな」
イリーガルがそう言うと『リーシャ』が反応する。
「どうしますか? このまま彼らを連れて応戦するのは難しいかと思いますが」
「いいかリーシャ。我らソフィ様に仕える九大魔王は決して敗北は許されない。
イリーガルの言葉にリーシャはくすくす笑い始める。
「冗談でしょぉ? むしろ私一人でこの場に残りますのでイリーガル様は、先に魔王城へお帰り下さい」
「ふっ……」
普段は寡黙な戦士であるイリーガルは、リーシャの言葉に思わず笑いを漏らすのだった。
「最初に向かってくる奴らの指揮官を狙う。次に俺達に近い者達の首を一斉に飛ばす。その後でお前は場を荒らしまくれ。但し『ステア』殿に気を配りながらだぞ」
「りょーかい! かなりの人数差がありそうですし、本気で行かせてもらいますけど、いいですよね?」
「当然だ『ステア』殿にかすり傷一つ負わせるなよ?」
先頭に居るイリーガルとリーシャの二人が、空の上で喋っているのを聞き、ステアもまた『
(イリーガル様とリーシャ様の二人で戦うおつもりかもしれないが、我らとて大魔王領域に身を置く者達だ。守ってもらうだけではなく私たちも戦うぞ!)
大魔王ソフィの傘下に下る事を決めたステアは『煌聖の教団』の者達と戦う覚悟を決めるのだった。
……
……
……
「ディアトロス殿、気づいていますよね?」
「ああ。一体何処に隠れていたのか、全く感知出来なかったな」
どうやらディアトロスとブラストもまた、イリーガル達の元へ向かっている『煌聖の教団』の者達の魔力を感知したようだった。
「さて、どうするかの? 他にも似たような
この中央大陸には『ユファ』や『
「私が行きましょう『イリーガル』達だけでも何とかなるでしょうが、少しばかり私も暴れておきたい」
『リラリオ』の世界からこの世界へくるまで、あらゆるフラストレーションを溜め続けていたブラストは、どこかでこの『
「よし、分かった。ワシからソフィには伝えておくから存分に暴れてくるがよいぞ」
「では、ソフィ様を頼みますよ」
そう言い残すとブラストは『高速転移』で一気にその場を離れるのだった。
『
離れた所に居るディアトロスは、そんなソフィの視線に頷きで応える。
「『
「ええ、分かったわ。時間をとらせてごめんなさいね。ソフィ」
『
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