第566話 現れたダールの魔神
ダールの世界で派手に魂を奪い『生命のストック』を増やし尽くしたミラは、本来の目的である魔神を現界に降臨させる為に配下を犠牲にするのだった。
そして
――やがてこの『ダール』の『
明確に変化に気づいたミラとヌーは、瞬時に金色を纏い始めて互いの顔を見る。
「ヌー。では悪いが盾として早速役立ってもらいたい! アイツを連れてこの場所へ持ってきてくれ」
「この場にだな……?」
ヌーは頷きを見せたミラを見て、直ぐに魔力感知を行いながら崖から飛び降りて、信徒を確保しに行った。
「リベイル! お前は中に居る『フルーフ』に『
「はっ! 仰せのままに!」
リベイルはミラに返事をした後に『神殿』の結界の内側に居る『フルーフ』を連れ出しに行った。
「よし。準備は整ったな。後は『魔神』の出方次第だ……」
「ミラ様! バルド殿と本隊をこちらへ呼び寄せておきますか?」
計画の為にこれから魔神と一戦構えようとしたミラに、ルビリスは盾となる数を増やすかどうかを尋ねてくるのだった。
「いや、バルド達はこれまで通りに待機させておけ」
戦う相手が『魔神』である以上は『
それならばこれまで通りに『アレルバレル』の世界で待機させておいた方がいいだろう。
そう考えていたミラは唐突に、目を見開きながら
「ルビリス。お前は全力でヌーと
「御意!」
――そして空に一筋の亀裂が入ったかと思うと、神々しいオーラを纏った『魔神』が現世に降臨した。
……
……
……
――魔神が『ダール』の世界へ現れる数分前の事。
人間達が多く暮らす大陸で『ミラ』からこの大陸の生存者たちを消すように命じられた『
人間達は悲鳴をあげながら逃げ惑うが、大魔王の領域に居るラテールは容赦せずに屠っていく。
次々と生存者たちが命を落としていく中で空から大魔王『
「おい! クソガキ! ミラが呼んでいる。さっさと戻るぞ」
ヌーはラテールに声を掛けると、直ぐに空へと戻っていく。
「ミラ様が! 分かりました。これで最後にします!」
ヌーの後を追従するように空を上がっていき、そして『魔力探知』を使って残っている人間達の方へと『極大魔法』を放つのだった。
恐ろしい爆撃音が鳴り響いたかと思うと大陸の地形が変わり果てて、生き残っていた者達の『魔力』が途絶えるのだった。
そして今の一撃で『魔神』が完全に目を覚ましたかの如く『ダール』の世界へと姿を見せたのだった。
……
……
……
『ダール』の世界に現れた魔神は『アレルバレル』の世界に現れた『
長身に似合う長い髪型で、眩い程の神々しいオーラさえ纏っていなければ見た目は『人間』や『魔族』と変わらない姿の魔神だった。
魔神はどうやら自分からこの世界へ向かった様子では無く、一つの世界で大半の生物が居なくなる事で、
魔神は気怠そうにこの大陸の至る所に、視線を這わせながら目的の存在を探し始める。
――やがて
「――」(分を弁えよ。矮小な塵芥の存在が)
この世界の言語では無い言葉を呟いたかと思うと、魔神はゆっくりと神殿の方へ向かって飛び行くと『ラテール』に手を向け始めた。
「――」(消え去れ。塵芥)
『
……
……
……
神殿がある山の頂で『ミラ』は、魔神が攻撃を始めた瞬間に、魔瞳である『
そして次にリベイルによって外に連れ出されてきた『フルーフ』の目もまた『金色』に変わるのだった。
フルーフの意識は相変わらずないが、普段の虚ろな目をしてはおらず、まるで戦闘態勢に入っている時のように『金色のオーラ』を纏わせながら何かの『魔法』を発動させている。
そしてその魔法の効果を増幅させるかの如く魔瞳で『
そしてその隣では大賢者ミラが、魔神の攻撃を瞬き一つせずに見続けていた。ミラが見ているのは、魔神の手から放たれた『
他の者達の目には、単なる魔力が込められた魔法のようなものにしか見えていないが、現在のフルーフの目には『魔神』のエネルギーが『
これは彼が編み出した新魔法の効力であり、この力は本来他者が使う『魔法』の『発動羅列』を読み解くモノである。これこそがミラ達が『フルーフ』を外に持ち出してきた理由であり、今回の作戦の要ともいえるものであった。
……
……
……
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