第519話 キーリVSリディア
「こ、この試合凄いな……! お前、今の見えたか?」
「いや全然! 試合開始と同時にランクボスの『キーリ』ちゃんが突っ込んでいったところしか、見えなかったよ」
ざわざわと観客席が騒がしくなり、至る所で今の戦闘を見ていた観客達が、思い思いの感想を語り始めていた。そんな中、観客席で同じように試合を見ていたレキは、色々と教えたリディアの方ではなく、龍族のキーリの方を注目していた。
(俺達の時代に居た魔族は『紅』や『青』。龍族なんてのは『龍化』をしている奴が大半で『オーラ』なんて使う奴は珍しかったが、その中でも『緑』なんて使う龍族は初めて見たな……)
『
――しかし今のキーリは、そのどちらのオーラとも違う『
……
……
……
「まさかこのオーラを纏った状態で、人間に押し負けるとは思わなかった」
がしがしと頭を掻きながら、キーリは溜息を吐いてそう告げる。
キーリの人型時での
そんなキーリを相手に押し勝っている現在のリディアは、確かに『
ソフィやラルフの前で述べたリディアの『魔王如き』という言葉は、嘘や偽りではなく本心だったのだろう。
「悪いが俺の見てる頂はお前より高い。力をまだ残しているのなら早く見せるんだな? 出し惜しみをするなら悪いが『次』で決めさせてもらうぞ」
リディアはキーリの
「……ははは。この俺も随分と舐められたもんだなぁ?」
……
……
……
キーリがリディアに出し惜しみをするなと告げられていた頃。特別室ではソフィがキーリの周囲に、少しずつ変化が起きようとしているのを察知するのだった。
「……む。キーリの周りを纏う『緑のオーラ』が変貌しかけているな」
「変貌? 俺には何も感じないが。どうやらいよいよ本気ってわけか?」
「果たしてそれは、どうなのだろうな」
ソフィはキーリが人型の状態で、もしリディアに勝てないとなれば『始祖龍化』をするだろうと踏んでいた。しかし今キーリの周囲を纏うオーラや、キーリの魔力の上昇具合をみるに、どうやら『始祖龍化』ではなく、人型のままで『オーラ』に拘った戦術で戦う予兆を感じ取るのだった。
……
……
……
『青』5.0 『紅』1.2 からなる、――『二色の併用』。
キーリの周囲を纏っていた『
【種族:龍族 名前:キーリ(人型+『緑』) 戦力値:4億7800万】。
↓
【種族:龍族 名前:キーリ(人型+『二色の併用』)戦力値:16億5000万】。
――始祖龍化ではないが、キーリの戦力値が大幅に上昇して先程までとは比べ物にならない戦力値を叩き出すのだった。
「何故龍化ではなくその姿のままで『
特別室でキーリ達の戦闘を見ていたソフィは、キーリを訝しげに見ながらそう口にするのだった。
…………
「ほう。確かにとんでもない上昇率だな。そいつは完全に俺の戦力値を越えている」
リディアは刀に手を当てたまま、金色を纏った自身の戦力値を大幅に越えたキーリを見て、感心するようにそう言葉を漏らすのだった。
――だが、キーリは何も言わず真剣な表情のままで、更に力を込め始めた。
「何だ?」
リディアは力を増したキーリがそのまま攻撃を仕掛けてくるだろうと考えていたが、その場から一歩も動かずに、更に言えばこちらの事など一切見ていない様子だった。
そのキーリの態度にリディアは疑問を持ち始める。
――何と一度は消えた筈の『
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます