第510話 近づく目標との戦い
闘技場の前でソフィ達がレキと話をしている頃。シティアスの辺境付近で『ユファ』と『ラルフ』が戦っていた。
エルシスのおかげでラルフの魔力回路は広がり『
ラルフは『
滑らかに手足を扱いながら、両手で別々の箇所の相手の急所を狙う為に『
「ここまでね、よくやったわ」
そして『ユファ』は合格点に十分達したと判断して、試合を止めるのだった。
「ありがとうございました」
ラルフは纏っていた『
「いい? リディアはきっと最初は貴方の様子を見ようとしてくるでしょう。その隙を狙って勝負を決めるつもりで最初から一気に『
「分かりました。では相手の機動力を潰す為に、足を狙い確実に潰します」
今のラルフの速度を持ってすれば、殺し屋時代に培った急所を突くテクニックは十分に脅威だろう。今回ではまだラルフは、リディアには勝てるというところまでは行けないかもしれないが、それでもかなりの飛躍に繋がっている事は疑いようがない。
――ユファはそんな弟子を信じて送り出すだけである。
「その意気よ! 頑張ってきなさい!」
ユファはガッツポーズをラルフに見せて、ウインクするのだった。
ラルフは頷いて再び『魔力』を魔力回路に注ぎ始める。
まだ闘技場が開かれるまで時間は十分にあるだろう。今の内に使った分『魔力』を『魔力回路』に貯め直すのだった。
【種族:人間 名前:ラルフ・アンデルセン 年齢:23歳 状態:通常
魔力値:22万 戦力値:1億1700万 所属:大魔王ソフィの直属の配下】。
↓
【種族:人間 名前:ラルフ・アンデルセン 年齢:23歳 状態:青
魔力値:55万 戦力値:2億9250万 所属:大魔王ソフィの直属の配下】。
……
……
……
『トウジン』魔国にある宿の一室。がちゃりと音を立てて一人の男が入ってくる。
同室のベッドで横になっていたリディアは身体を起こして、入ってきた男を睨みながら口を開いた。
「おいレキ! 貴様、何処へ行っていた?」
「ちっ! 起きていたか」
レキはリディアが研鑽を終えて宿に戻り、泥のように眠るのを確認した後に出て行ったのだが、戻ってみるとすでに起きていたリディアに、詰め寄られてしまうのだった。
すでに魔力感知か何かで何処へ居たかを知られているだろうと判断したレキは、素直に白状するのだった。
「『闘技場』の様子を見に来ていた、お前のご執心の魔族を観察してきたんだよ」
レキの言葉にリディアは立ち上がる。
「てめぇ……! アイツに手を出しやがったのか? 斬るぞ貴様……!」
普段であればここまで感情を表に出さない男が、あの魔族の事になるとここまでの反応を見せる。レキはそれを歪んだ目で観察しながら心の中で嗤う。
「見てきただけだと行っただろう? 少しばかり会話をしたくらいだ」
実際は『
「まぁいい……。今度勝手な真似をしたら、お前であっても斬るからな」
そう言い残してリディアは扉を荒々しく開けたかと思うと、そのままレキには一瞥もくれずに部屋を出て行った。
「クカカカッ! 全く、俺を前にして大した人間だぜ。
かつてこの世界を支配した事のある男はそう言って、もう一つの自分が使うベッドに倒れ込むのだった。
(……しかしあのソフィという魔族は確かに強いな。こんな
ソフィという大魔王だけではなく、その周りに居た『老いぼれ』や『小娘』もそこそこに強かった。特に小娘の方は今後の伸び代は相当なものであった。
もしかすると『レキ』が率いていた
「楽しみにはなってきたな」
邪悪な笑みを浮かべながら、次の『
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます