第418話 到着、シティアスの街
ユファはレアを連れ立ってレイズ魔国の首都『シティアス』に到着した。この国のNo.2である『ユファ』の姿を見ると『レイズ』の民達は頭を下げて通り過ぎていく。
「レア。まずはこの国の冒険者ギルド長のレルバノンを紹介するから、ギルドに向かいましょうか」
「冒険者ギルド?』
三千年前のこの世界では存在していなかった施設に、レアは不思議そうな顔を浮かべる。
「そうか。レアがギルドを知らないのは当然か。冒険者ギルドっていうのはね、強い魔物が町に攻めてきた時に退治が出来ない者達がギルドに依頼を出して、それをギルドに所属するモノが受託して討伐に出かける。そして討伐が確認されたら、依頼人から報酬を受けとるっていう風な感じで、冒険者ギルドはそうねぇ……。いわば
「ふーん」
レアはユファの言葉に、気に入らないという風な、そんな不満そうな顔を浮かべながら相槌を打つのだった。
(力がないから他の者に頼って金銭を払って討伐してもらうって、本来そういうのはその国を治めている者が、責任をもって討伐するべき事じゃないかしらぁ?)
まだギルドというものをよく理解していないレアは、元支配者の目線から物事を考えてしまうのだった。
そしてそれも本来は間違ってはいない。そもそもこの冒険者ギルドというのが出来た理由は、人間の大陸『ミールガルド』から来た風習のようなモノである。
「納得行かないって顔をしてるけど、このギルドの長はソフィ様の治める国のNo.2だからね。あんまり失礼な事は言わないようにしてね?」
ユファがそういうと心外だとばかりに、視線でユファを非難する。
「貴方だから言っているんだからね? 身に覚えがありすぎて困るんじゃないの?」
ユファがそう言うと、口を尖らせてそっぽを向くレアであった。
「一つだけ言わせて欲しいのだけどぉ、私はソフィ様に対して迷惑をかけたとは思っているし、一生懸命償いをしようという気持ちに嘘はないけど、私が生涯を尽くすと決めた相手は、
いい機会だとばかりにレアは、同じ世界の同胞であるユファに本音を漏らすのだった。
「ええ。もちろん分かっているわよ? でもこの世界に居る間はソフィ様の言う通りに従いなさいよ? 貴方のためにと思ってソフィ様も色々と考えてくれて、貴方の処遇は軽いモノになったんだからね」
「うん。それは分かってる」
ソフィがしてくれたことをしっかりと理解しているレアは、素直にユファの言葉に従う。
「私が出来る事は、何でもするけどね。せめて私の本来の身体があればよかったのだけど」
本来の身体であれば、通常の状態で4億の戦力値を誇り『
大魔王の領域として恥ずかしくない力を持っているレアではあるが『
そして完全に自分の力にしたとして、今のレアが金色を使ってもユファにも敵わないだろう。だからこそ、苦労して鍛えた自らの身体の回復を早くさせたいと考えるレアであった。
「貴方の胸の傷は私が『レインドリヒ』に受けた傷より深かったからね。身体が死を迎える寸前の状態でも『ソフィ』様があの場にもし居てくれてたら、貴方は『
「あんな状態でもソフィ様なら回復させられてたの?」
驚愕しながらレアはユファに問いかける。
「あの人に不可能なんてないんじゃないかな。魂さえ残っていれば死人でも蘇生させられるし『
「う、嘘でしょう!? ふ、フルーフ様の『
「そうよ? でも貴方も知っているでしょ? ソフィ様は『死神』どころか『魔神』を従えているのよ?」
「ああ……。そうだったわねぇ……」
顔を引きつらせながら信じられない現実にレアは苦笑いを浮かべた。
――死神より上位の力を持つ『魔神』。
そしてその『魔神』の中でも『力』を司るソフィの使役する『力の魔神』は『神』の中でも『最上位』に位置する『神』なのである。
本来であれば魔族や人間程度の存在が『魔神』を従えられるのは不可能である。
それどころか魔神より下位に位置する『死神』であっても従えるには相当の力関係が必要であり、
フルーフやヌーといった力ある大魔王でさえ、ようやく長年をかけて契約出来るようになったくらいである。
もちろん神々の中には興味本位で人間と契約をする存在もいたが、ソフィの魔神のように『絶対服従』をするというのはあり得ないことであった。それどころかソフィの従える『力の魔神』は、ソフィに服従しているというよりは自らソフィの力になろうとしている節がある。
今までソフィを傷つけようとしてきた者達に激昂して『力の魔神』自身の意思で処刑を行っていることからも明白である。
ユファとレアは改めて『
そして『シティアス』の街の中で話をしながら歩いていた二人は、冒険者ギルドに到着するのだった。
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