最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。

第400話 新たな九大魔王の誕生

　――アレルバレルの魔界中央の大陸。

　ソフィの魔王城がある本拠地で、現在多くの魔族が集まっていた。反乱分子と呼ばれる者達の施設を全て壊滅させて『組織』の『生贄部隊』や『ヌー』の残存勢力が滅ぼされて『アレルバレル』の魔界全土は『ソフィ』によって統一された。

　精霊の大陸は一部ソフィの温情によって残されてはいるが、すでに精霊達もソフィを大陸の王と認めているために『魔界』でソフィに逆らう者は皆無となった。

『人間界』の方も王の選出は宰相である『ディアトロス』によって行われており、人間達の平和と暮らしの安寧と引き換えにソフィの統治には一切口を挟まない事となっている。

　今回の事で『ソフィ』が名実共に『アレルバレル』の魔界だけではなく、世（・）界（・）そ（・）の（・）も（・）の（・）を掌握したと言っても過言ではなかった。

　そして統治者となった『ソフィ』を称える為に、魔界全土に散らばる魔族達のほとんどが中央大陸に集まるのであった。

　そして魔王城で新たに『魔王軍』の序列の再編が行われていた。今回の『反乱分子』の施設を攻めるに辺り、活躍を見せた者達が新たな『ソフィ』の側近に選ばれることになったのである。

『魔王軍』の序列の再編は一度行われると数百年から数千年は変更する事がないために、ここで序列部隊で上位に位置する事が決まったり、新たな側近としての立場を得られたならば『魔王軍』での地位は盤石となるため『魔王軍』で新たな派閥が決まったりして、今後の生き方が大幅に変わるといえる。

　――つまり『魔界』では今回のソフィの『側近が選出された上での再編』は、これまでより一（・）層（・）注（・）目（・）が（・）集（・）ま（・）っ（・）て（・）い（・）る（・）のであった。

『魔王軍』では『三大魔王』である『ディアトロス』『イリーガル』『ブラスト』の三体が事実上、ソ（・）フ（・）ィ（・）の（・）側（・）近（・）として最高序列の立場に居る。

　次いで『魔王軍』を支える柱と呼ばれる者達が『序列一桁』ナ（・）ン（・）バ（・）ー（・）を与えられる。

　現在その者達は『魔王軍』の部隊を与えられており、部隊長としての権限を持つことが許されている。

（※レアが世話になっている森の集落の長老である『バルド』は、このソフィの元『魔王軍』の『序列一桁・第三位』の立場として、過去にジェイン達を配下に持っていた）

　今回の戦争で二つ目の拠点を攻めた時に立ちはだかった『リガイダー』という『大魔王』を仕留めた者の功績を認められて、新たな魔族が『序列一桁』の立場を賜る事となった。

　――その魔族の名は『カルデア・フォーミュラ』。

　総戦力値は『２４０億』と『序列一桁』のメンバーとしては、他に比べて少々力が足りてはいないモノの現行で『カルデア』から見て格上であった『リガイダー』という一流の『大魔王』を相手に卓越した戦略性を用いて、終始戦闘を有利に持っていき『生贄部隊』の隊長階級（クラス）であった『リガイダー』を見事に仕留めた事で、三大魔王である『ディアトロス』に強く推薦されて今回の抜擢となった。

　そして『序列九位』に『カルデア』の名が入った事で順位が繰り上がり、今回まで『序列一位』だった『ホーク・ディラン』が、新たにソ（・）フ（・）ィ（・）直（・）属（・）の（・）側（・）近（・）に選ばれた。

　つまりこの『ホーク』は『ディアトロス』『イリーガル』『ブラスト』と、新たに肩を並べる魔族として迎え入れられたのである。

　人間界の貴族制度や『リラリオ』の世界の魔国階級制度のような爵位や称位はつかないが、ソフィ直属の側近と言えば『魔王軍』では圧倒的な権限を持つ事を許された存在として一目置かれるようになる。

　今回のような大々的な殲滅作戦が遂行されることになれば、当然ソフィが決定権を持つことにはなるが、今後『ホーク』が直接『ソフィの側近』を含めた最高幹部の招集を個別で行えるようになる権限も持つ事が許されるのであった。

　それはつまり大きな作戦の立案から、自身の持つ部隊以外にも命令権限を所有する事と同義であり『魔界全土』に『魔王軍』の最（・）高（・）幹（・）部（・）と（・）し（・）て（・）責（・）任（・）を（・）持（・）つ（・）事（・）が（・）許（・）さ（・）れ（・）る（・）ということである。

　この新たに『序列一桁』のメンバーとなった『カルデア・フォーミュラ』と、新たな『魔王軍幹部』の『ホーク・ディラン』の就任を祝して、魔王城で歓待が行われるのであった。

　現在その二体の魔族『ホーク』と『カルデア』がソフィの前で跪いていた。

「うむ、もうよいぞ」

　ソフィの言葉に二人は立ち上がり再びソフィに頭を下げる。そしてそんな二人の前までソフィが歩いていき、頭を下げ続けているホークに声を掛ける。

「面をあげよ『ホーク』。そしてこれを受け取るがよい」

　そう言ってソフィは懐から『金色のメダル』を取り出して『ホーク』に手渡した。

　ホークは震える手でメダルを受け取り、そして再び頭を少し下げながら声をあげる。

「ご厚情賜りました……。ソフィ様！」

　その直後『ディアトロス』が拍手をすると『イリーガル』が、更には『ブラスト』が。そして『ホーク』の横に居る『カルデア』と連なって伝染するように広まっていき、やがては魔王城全体で拍手が巻き起こるのであった。

　――これ以降、魔王軍所属の『ホーク・ディラン』は『怪傑（かいけつ）』の大魔王と呼ばれてソフィの直属の部下として『九大魔王』の末席に座る事となるのであった。