第388話 ようやく力の使い方を覚え始めた魔王
ソフィが束ねる『魔王軍』が『反乱分子』達が居る一つ目の拠点を落とした時『組織』の『生贄部隊』達は、
最初に沈められた拠点は『組織』の者達がほとんど居らず、主に『大賢者』達の組織に属していない『レジスタンス』や、大魔王ヌーが残した
しかしあれだけ大規模の魔族の動員があったと言う事は、ソフィやそのソフィの片腕のディアトロスが率いる『魔王軍』はフルーフを拉致した元凶を壊滅させる為に、本気になったことの証明であろう。
この『アレルバレル』の世界では、ソフィ達の『魔王軍』に狙われた以上は残念ながら待っているのは死しかない。
魔界全土に居る支配者領域の魔族達が、魔王軍の指揮官である『ディアトロス』の命令によって、数十万から数百万規模で血眼になりながら『組織』の関係者の命を奪いにくるためである。
『生贄部隊』として残された者達は『ダール』の世界へ向かった同胞達に、この事を知らせるのであった。
……
……
……
『魔界全土』で殲滅作戦が実行された頃、集落がある森ではいつものように『レア』と『リーシャ』が『エイネ』の修行を受けていた。
レアがエイネに修行を受け始めた頃とは、比較にもならないくらいの戦闘技術を学んだレアと、戦力値が6000万を越え始めた『リーシャ』。
レアは今の強さの領域に辿り着いた事で、如何にこの世界に来た時の自分が稚拙な戦い方をしていたかを知った。
始祖龍『キーリ』のように真っ向から挑んでくる相手ばかりであれば、今までの大技に頼った戦い方でもなんとかなっていたが、互角以上の存在が魔力を削る攻撃やこちらにすんなりと、攻撃をさせないような
今になってようやく集落の長であるバルドが言っていた言葉が分かる。そしてこの『アレルバレル』という世界では、そういう『力』を持つ魔王達が多く居て、互いに技術を用いて命のやり取りをしているのだろう。
どういう意図があってレアを強くしようと思ったかは分からないが、レアはバルド達に感謝をするのだった。
そして今も相手をしてくれている『エイネ』の強さもまた、とんでもないと言う事をレアは思い知らされた。
『青』を纏っている状態ではあるエイネだが、これでもまだまだ手加減をしているのだろう。レアが『青』3.3と『紅』1.2の『二色の併用』を用いて戦っているのに対してエイネは『青』の練度を加減して戦ってくれているのである。
レアの目測ではエイネの『青』の練度が4以上はあるとみるが、実際今戦っているときに使用しているのは2以下だろうと考えられた。
何故なら青の展開に対してエイネは、全く練度を意識する素振りすらないのである。どんなに青の練度が高い者でも数値が高ければ高い程、青の維持に魔力を費やすのに意識を割く。
だがエイネはほぼ
それはつまり青の練度を下げているからに他ならないからだろう。それか若しくはレアが計り知れない程の膨大な魔力をエイネがもっており、
だが、後者の場合は魔力値が数十億程を持っていなければ不可能であろうことから、やはり青の練度を下げて戦っていると思われる。
むしろそうであってほしいと思うと共に、そうであった場合には今度は基本値となる元の戦力値が恐ろしく高いという考えたくない別問題に論結するのである。
レアの現在の魔力では『
エイネの戦力値は隠蔽されており、今のレアの魔力ではエイネの隠蔽魔法を突破出来ない。その時点でかなりの差があるだろう。
最初レアはエイネの戦力値を自身の倍程だと感じていたが『二色の併用』すら使われていない以上は倍どころではないと実感していた。
――そしてレアは思うのだ。
これ程の強さを持つエイネであっても、
リラリオの世界であったならば、魔人や精霊どころか、龍族を相手にしても全く苦にせず滅ぼせるだろう。
――そしてレアは更に思う。
――
「レアさん、今日はここまでにしましょう」
そしていつもの修行の終わりを告げるエイネの声がレアに掛けられた。
「ええ、今日もありがとねぇ?」
「いえいえ。こちらもどんどんとレアさんが、強くなられていっているのを見るのが楽しみなので修行をみるのは苦ではありませんよ」
エイネはそう言って笑った。そしてリーシャを含めて三人が集落の帰路についた時、大きな爆音が遠くの空から聞こえてくるのだった。
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