第174話 いざ、ヴェルマー大陸へ
王国と冒険者ギルドへ挨拶を済ませたソフィ達は、屋敷の庭に出て今からユファの転移魔法を使ってレイズ魔国の領内へと飛ぶ手筈となっていた。
この時代に船や飛行船といったものがない為に、別の大陸へ行くには魔法使いを雇って空を飛ぶ魔法をかけてもらう以外に海を渡ることは出来ない。
ヴェルマー大陸に元々住んでいたヴェルトマーや、シスであれば転移魔法で飛ばす事が出来る為に、ユファに転移を頼んだのであった。
現在この場には『ユファ』『シス』『シチョウ』『レルバノン』とその配下達のヴェルマー大陸出身の者達と『ラルフ』に『スイレン』と『リーネ』、そしてソフィと魔物の配下達がいる。
ソフィがヴェルマーへ行くのであれば、ラルフを含めた配下達は当然ついてくるだろう。
しかし、スイレンとリーネはこの大陸出身であり、一度大陸を渡れば自分達だけでは中々戻る事が出来ない為、当初ソフィは二人を連れていくつもりはなかった。
だが、その事をリーネたちに言うと、ソフィはリーネに激怒されたのだった。
「私は絶対にソフィについていくからね!」
いつミールガルド大陸に戻って来れるか分からないという旨も伝えたが、それでも構わないとリーネは断言した。それでも機嫌が直らないリーネを兄であるスイレンが宥めながら、保護者としてスイレンがついて行くという流れで落ち着いたのであった。
何といってもリーネとしてはソフィについてきて欲しいと、そう言って欲しかったのだろう。
……
……
……
――そして冒頭に戻る。
「ソフィ様。準備が宜しければ、そろそろ飛ぼうと思うのですけど……」
ソフィの配下を入れると数百という数にのぼるが、本来の身体となった今のユファにとっては、どうという事もないと言った様子で、一気に全員を飛ばすつもりであった。
「すまぬなユファ。それでは……」
そしてソフィが頷こうとした矢先の事だった。
「ちょっと待て」
外の警備を行う者達を押しのけながら、強引に庭へと入って来る男が居た。
その男とは『ミールガルド』大陸で名を馳せている剣士『リディア』であった。
「ソフィ、俺も連れていけ」
真っすぐにソフィの目を見てリディアはそう訴えた。
「お主、分かっているのか? 今から行くところはヴェルマー大陸だ。簡単には戻ってこれぬぞ?」
ソフィが忠告を含めてそう言ったが、構わないと首を縦に振った。
「貴方は、サシスの町の冒険者でしょう? ギルドはどうするつもりなのですか?」
だがそこで話を聞いていたラルフが口を挟むのだった。
「ふっ、別にサシスのギルドを辞めるつもりはないが、当分は冒険者稼業は休止はするつもりだ」
ラルフの質問にリディアはそう答えるのだった。
「今の俺には
そう言うとソフィに視線を向けた。
「クックック、そうか」
嬉しそうに笑うソフィを横目に、レルバノンはいつかの時のようにリディアに『
【種族:人間 名前:リディア 年齢:25歳
魔力値:12079 戦力値:1022万 職業:剣士】。
(また強くなっていますね。この人間に限界はないのでしょうか?)
レルバノンは着実に強くなっているリディアに懸念を抱く。ユファも感心するようにリディアを見ていたがやがて口を開いた。
「行き先はひとまず『レイズ』魔国でいいですよね?」
ヴェルマー大陸のどこを拠点にするか。そこからまずは決めないといけないだろう。
「うむ、我はどこでもよいが、お主やシスの国へまずは案内をしてもらおうか」
ソフィの言葉にシスやユファは頷いた。
「はーい。それじゃあ飛びますね?」
そう言ってユファは、膨大な魔力を一気に高めた。
一気に魔力が増幅された後に、ユファが無詠唱で転移魔法を発動させた。
次の瞬間には屋敷に居た者達全員が一度、空へ舞い上がった後に光の渦がユファを中心に包み込んだかと思うと、そのまま高速でヴェルマー大陸の方角へと向かっていくのであった。
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