第137話 強大な新勢力
「よいか? ラルグの魔族達は近日中にこの大陸にくるだろう。そこでお主達には無理をせぬ範囲で人間達を守って欲しい」
ソフィの言葉を熱心に耳を傾けてコクコクと魔物達は頷く。
魔物達は人間を決して好きではないが、ソフィが守れというのであればそれは第一に優先される。
――魔物達はソフィが大好きなのだ。
主従以上の気持ちを持ってソフィが喜んでくれる事をしたいのであった。
「お主達はすでに『魔力感知』を出来るようになっては居ると思うが、最初に言ったように無理はするなよ? 自分と同程度以上の強さと判断した場合、たった一体で挑まずに仲間を頼るのだ。仲間を頼ることは恥ずべき事ではない、頼らずに死す事が恥ずべき事だと知れ」
ソフィの言葉はすっと彼らの胸の内に入り込んでいく。
信頼している主の言葉とは何と心地よいものだろうかと、その場に居る全ての者が納得する。
「しかしソフィ様……。貴族達は我々の助けが入るとなると、また難癖付けてくるかもしれませんがどうなさいますか?』
ラルフの言葉があの『ステイラ』公爵という貴族を思い出させる。
「それでも助けよ。もし戦争が終わった後に再び何かを言ってくるようであれば、その時は我がなんとかしよう」
「分かりました」
ラルフは主の言葉に頷いて見せたが、もしソフィに対して難癖をつけるのであれば『微笑』として行動する決意を固めていた。
「それでは一度『レルバノン』の屋敷に出向くとしようか」
そう言うとソフィは『真なる大魔王』状態で転移魔法を唱える。
次の瞬間、その場にいた400余名を越える全ての者が、一瞬でレルバノンの屋敷に飛ぶのであった。
屋敷に辿り着いた時『レルバノン』達は、待ち構えていたかのように屋敷の外で立っていた。
「お待ちしておりましたよ、ソフィ君」
広大な庭が埋まるほどの数が唐突に転移してきた事で、門番達は驚いていたがレルバノンや、リーネといったいつものメンバーはそこまで驚いていなかった。
もうソフィはそういう存在なのだということを悟ったのだろう。
「ソフィ君の後ろにいる者達は……?」
レルバノンが配下の魔物達の方に視線を向けるとソフィが口を開く。
「この者達は我の頼みを聞いてくれた者達だ。我の新たな家族といってもいい、手厚く対応してもらえると助かる」
魔物達はソフィの温かい言葉に、嬉しそうに顔を見合わせた。
エルザは『
エルザがレルバノンの方を見ると、レルバノンは首を横に振った。
ベアやサーベル達の戦力値を数値化しようとしたエルザをレルバノンが止めたのである。
ソフィの時と同じなのだとエルザは『レルバノン』の意図を理解したのだが、どこか不満そうにソフィが新たな家族と呼んでいた魔物達に視線を送るのだった。
「各種族から20体をこの屋敷の守りにつける。ラルグの魔族達は『魔力感知』は出来るだろうから、まず狙われるとしたらここだろう」
ソフィがそう言うとレルバノンは頷く。
「後の者は『ベア』『サーベル』『デス』を含めた半数を王国へ。
『ハウンド』『キラー』『クラウザー』を含む残りの半数は、グランの町を中心に散っている『魔族』を倒す遊撃として動いてくれ」
ソフィの言葉に今度は魔物達が頷いた。
……
……
……
ソフィの配下の魔物達は命じられた代表の魔物を筆頭に、チームの編成を始めていく。
――屋敷を守るAチーム。
『ソフィの配下全種族から集められた20体で、指揮を執るのが『ソフィ』『シチョウ』『レルバノン』。
――王国へ向かう者をBチームとして代表を務めるのが、直轄司令の『ベア』『エルザ』『サーベル』『デス』、そしてソフィの配下の混合種族155体。
――グランを中心に守りながら他の町や、Bチームでカバー出来なかった、うち漏らし等を討伐する遊撃部隊をCチームとして代表を務めるのが『ラルフ』『リディア』『スイレン』『リーネ』『ハウンド』『キラー』『クラウザー』そしてソフィの配下の混合種族155体とされたのであった。
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