202. 異世界1291日目 未発見の遺跡の調査

 0時に起きてから朝食をとり、今日から遺跡の発掘に取りかかる。まずは道しるべの玉の方向の壁のがれきを除いていく。崩壊している岩がかなり多いので時間がかかってしまうのはしょうが無い。

 岩を収納してから拠点の壁の補強をする感じに置いていくと、何重にも壁ができてきたので正直良階位の魔獣でもいきなり襲いかかるのは無理じゃないかな?一番外側の壁は高さ5キヤルドもあるし、途中に罠も仕掛けているしね。

 このがれきの整理だけで数日費やしてしまったが、まあその分安全な拠点ができたからよしとしよう。草や木が生えている状態から考えると、天井が壊れてから何十年も経った感じはしない。おそらく長くても10年とかなのかな?もともと樹木が少ないエリアなのでわかりにくいな。



 闘技場か何かのスペースだったのか、壁にいくつか扉が見つかったんだが、中は倉庫のような感じだった。もともとは鍵がかかっていた感じだけど、すでに魔力が通っていないせいか壊れてしまっているのであっさりと開けることができた。

 中には何かが置かれていたような跡があるが、すでにかなりの年月が経っていたせいか何があったのかよくわからない状態だった。もう風化してしまっている感じで、金属と思われるものが少し残っているくらいだ。金属は鉄だったので風化してしまっているのはしょうが無いな。

 数日かけてがれきの整理が終わったが、遺跡の端にあったのか、通路は一つだけだった。それ以外には倉庫になっているだけだった。


 通路の壁は一応大丈夫そうだが、崩れてもおかしくないので何かあればすぐに脱出しなければならない。もしもの時のために部屋になるような形に加工した岩を収納している。崩れてきたらひとまずその下に入ればなんとかなると思っている。


 あまり振動を立てないように進んでいくが、中には魔獣の気配もあるので気をつけなければならない。途中現れる魔獣を倒していくが、振動が起こらないように魔法で一気に仕留めていく。まあ出てくるのは並階位と上階位の魔獣なのでまだよかった。前みたいに良階位の魔獣が出てくるのは勘弁してほしいところだ。



 しばらく歩くと広いエリアに出た。暗くてよくわからないが、ヤーマンでみた遺跡のようなところだろうか?ただここは光がないせいか木々は生えていないようだ。


「強い魔獣の気配もないので光魔法であたりを照らしてみるよ。」


「ええ、その方がいいわね。私も一緒に光り魔法を出すわ。」


 かなり強めに光り魔法を出すとあたりの様子が見えるようになった。


「町!?」


 そこにあったのは様々な建物の集まった町だった。もちろん人の気配はないが、間違いなく町の跡だった。ここは天井まで30キヤルドくらいの大きなホールとなっているが、壊れてしまったらしゃれにならないだろう。


 途中襲ってくる魔獣を倒しながら町の調査を続ける。もともといた住人はここでなくなったわけではないのだろうか?急にいなくなったにしては生活の跡という感じがないのである。

 ポンペイの町のように急に死んでしまったらいろいろと生活の形跡が残っていてもいいはずだ。まあ風化してしまっているので正確にはわからないが、ほとんどのものが持ち出された後という感じだった。

 広さも結構あるのでここの調査だけでもかなりの日数を費やしてしまうことになるだろう。途中でこの町の地図を見つけることができたので良かったけどね。岩に刻まれていたから残ってくれていて助かった。


 先ほどのエリアから通路でこのエリアにつながっているんだが、建物の数から考えて2000~4000人くらいの規模だろうか?町と言うよりはシェルターと言った感じなのかもしれない。



 居住エリアの奥には頑丈そうな扉があって奥に通路がつながっている。通路を進むとコンピューターのようなものが置かれていたような部屋があった。もちろんぼろぼろで動く感じではないが、おそらくコントロールルームではないかと思う。ちなみに転移先はこの途中にあった少し広めの部屋だった。


 残っている金属はミスリルなどの合金みたいだが、おそらく他の遺跡とかでも回収されているものだろう。本とかも置いていたのかもしれないが、棚のような跡だけが残っていた。


 簡単な調査だけでも二日もかかったんだが、一つ一つ建物とか見ていったらどのくらい時間がかかるかは正直わからないな。


「ジェン、せっかくここまできたんだからゆっくり調査しようと思っているけどいいか?」


「いいわよ。特に急ぐ旅でもないし、もともと遺跡の調査をするために来たようなものだしね。ただ島の遺跡みたいに快適ではないのが残念なところね。」


「まああそこはなぜか動力が残っていたからね。でも魔道具があるからまだいいんじゃないか?拠点があるだけでもかなり快適だしね。」


 とりあえず腰を落ち着けて遺跡の調査をすることになった。まあ少なくとも1ヶ月とかで終わるものでもないだろうからのんびりやっていくしかないな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る