193. 異世界1240日目 王都へ
この国でも遺跡の調査するため王都に行って許可証を出してもらわなければならない。王都はここから南に行ったところでバスで7日くらいの日程らしい。特に町の中を色々見て回る必要もなさそうなので早々に出発することにした。買い出しも必要が無いしね。
街道は整備されているんだが、主要道路としては道路の幅が狭い感じだ。車を持っているのが貴族限定らしいので走っている車の数がかなり少ない。その分車で走るには問題ないからいいんだけどね。
「街道はそれほど広くもないけど、魔獣の討伐などはちゃんと行われているみたいだね。まあその土地の領主の威信がかかっているから手を抜けないってことなのかな?」
「特に主要道路だからそれはあるかもしれないわね。」
「私たちが中位爵相当で良かったわね。そうでなかったらずっと後ろについて走らないといけなかったわ。」
この国独自のいろいろな決まり事があり、その中に走っている上位の爵位の車を抜いてはいけないとかいうことがあったのである。
「さすがに上位爵の車がいたらつらいけど、今のところは遭遇していないから良かったよ。まあその場合は街道を無視して行く手もあるけどね。」
「基本的に上位の爵位の人の車は質がいいからスピードは速いみたいだけど、自分たちの車にはかなわないからねえ。」
こっちの車のペースにあわせて走ったら遅くなってしょうが無いからね。
変なトラブルに巻き込まれても面倒なので途中の町には寄らずに拠点に泊まりながら移動していく。本当はもっと楽しみながら行きたいけど、こればかりはしょうがない。途中の町の様子はわからなかったが、畑で働いている人達は痩せ細っている人ばかりなのであまり暮らしぶりがいいわけではないのだろう。
途中で上位爵のプレートをつけた車はいなかったので自分たちのペースで走ることができたこともあり、5日目には王都サビオニアが見えてきた。城壁の向こうにいかにも中世という感じの城が建っているのでなんか違和感を覚えてしまう。社会性だけでなく生活まで中世風なのか?
王都もきっちりと貴族エリアと平民エリアが分かれており、貴族専用の門からは貴族エリアにつながっていた。早速宿の予約に行くが一泊が5000ドールとかなりの高額だ。どうもこれで普通らしいが、半端ないな・・・。宿のレベルはそんなに高くないのになあ。
宿の予約を済ませてから役場に行って遺跡の調査許可証の申請を行う。紹介状と一緒に申請すると、モクニクと同じようにすぐに上司と思われる人に呼ばれることとなった。
申請を行うと今回はその日に許可証を発行してくれることになったが、発行されたのは1級調査許可証だった。この国では特級調査許可証というものはなく、1級が一番上らしい。これでも特別許可がいるところ以外は入れるようだ。
ただ話を聞くと、許可の必要な遺跡はほとんど無く、管理している人もほとんどいないというのが実情らしい。特に許可証はいらなかったか・・・。まあ遺跡の保護って言うのはある程度社会が安定した国でないとできないだろうな。
そもそも遺跡の調査を行っているのが貴族の道楽でやっているくらいであり、遺跡は古代遺物のある場所という認識のようだ。このため他国の調査団が調査する以外は放置に近い状態らしい。
このあと役場で資料を見てみるが、やはり王都付近は魔獣の階位が低いものしかいないようなので冒険者は少ないようだ。
平民エリアの方にも行ってみたが、こっちはさらにひどくて冒険者がほとんどいないという状況だった。このため受付も一つしか無かった。平民だと車もないので狩りをするのも大変だし、護衛依頼もほとんど無いという状況だからね。いるのはほんとに初心者くらいだろうが、生活まで考えると少しでも物価の安い地方に行くよな。
お店を見て回るが、王都でも平民エリアは取り扱いの品物が少ない状況だ。貴族エリアでもそんなに十分あるというわけではなかったからね。他の国ともあまり交流していないようだし自国の物流もどこまでちゃんとしているか不明だ。
食事は宿の食堂でとることにしたが、一人500ドールとかなりの値段だった。しかし出てくるものがそんなにいいものではないというのがかなり悲しい。これだったら平民エリアで食べた方がまだ良かったかもしれないよなあ。お昼は高いとは言え150ドールで食べられたしね。
部屋はシルバーフローよりも質が悪いという感じだ。掃除などはちゃんとしているんだが、置いている家具の質が悪いという印象である。もっと上の部屋になればいいものを使っているとは思うんだが、このあたりは仕方が無いのかねえ。
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