188. 異世界1195日目 城塞都市カルニクへ

 メニクの町を出発してからさらに南下していく。途中は水郷地帯となっているせいで高台に造られている道路も水没しているところが結構多く、飛行していくことが多くなってしまった。おかげで魔獣石の消費が早い。

 といってもずっと飛んでいるわけでもないし、魔獣石の消費が10倍とかになるわけではない。魔符核も書き換えてかなり効率的になったし、自分たちの魔法を使うことで負担を軽減できるからね。

 さすがにこのような地域のせいか、空を飛べる車はある程度は走っているので、自分たちが特に目立つわけでもないので助かった。一応貴族の車となっているので余計にだ。

 まあ、立ち往生したと言っても数時間程度なので何日も動けないわけではないから移動時間が倍になるとか言うわけではないんだが、それでも立ち往生した時間を合計すると結構な時間となるのでバスの移動とかだと大変なことになっていたかもしれない。



 途中の町にも寄っていくが、町の雰囲気はそこを治める領主によっていろいろと異なっている感じだ。活気があるところもあるし、寂れているところもある。寂れているところはやはり行き交う人たちの表情が違っている。税率はある程度上限は決められているようだが、領地によって税率も違っているみたいだしね。

 それぞれの町に入るときにはお金を払わなくてはならないが、良階位以上の冒険者は免除されるし、貴族でも免除はされるのでそのお金はかからないのは助かる。

 積み荷のチェックはあるが、次元魔法や収納バッグについては事前申請の書類で済ませるみたいだ。自分たちは商売というわけではないのでその申請はしていないけど、正直なところこのあたりはチェックしようがないんではないだろうか?



 一日に走る距離が短くなってしまったこともあり、結局12日かけて城塞都市カルニクに到着することができた。まあ普通だったらこの倍くらいはかかるようなのでまあ十分早く着いたと考えていいだろう。

 だいぶ南下してきたのか、気温も徐々に下がってきている感じがする。季節的には今は春くらいなので、また徐々に暑くはなっていくかもしれないが、雪で動けなくなるという心配はなさそうだ。




 この町は100年以上前にサビオニアと国境争いをしていたときの前線基地だったところで、現在の国境はもっと南にあるが、もともとはこの町の少し南が国境だったらしく、大きな城壁を備える都市になっていた。戦争の結果領土が広がったので今では前線基地というわけではないんだが、そのときの名残が残っているようだ。

 このため町は高い壁に囲まれており、町に行く途中にはいくつもの堀があり、そこを渡らなければ町に行くことはできない。掘には橋が架かっているんだが、おそらくすぐに橋は外せるようになっているのだろう。門も頑丈な造りになっていてかなり威圧感があった。



 町に入ってからまずは宿へと向かう。今回泊まるのも平民エリアにある高級宿だ。というのも大きな町になると生活格差も大きくなっているのか、ある程度のレベルの宿でないと安全性が低いというのが問題のようだ。

 ちなみにサビオニアになると爵位を持っているなら貴族エリアに泊まった方がいいと言われている。この国よりさらに貧富の差が激しいらしいので、安全性を考えると貴族エリアの方がいいだろうと言うことだった。

 まあ地球でもホテルに泊まっているときに襲われたという話はニュースにもなっていたからね。従業員がそれに協力しているというのも普通にありそうだからね。




 宿の予約を済ませてから役場へと向かう。まだ見つかっていない古代遺跡の場所を確認して話を聞くと、古代遺跡があると思われる南西方向のエリアはあまり開発されていないらしく、前線基地となる小さな町がいくつかある程度のようだ。

 問題なのは、魔獣が良階位~優階位までいるということだ。遺跡の位置と魔獣の生息エリアが明確にはわからないので、とりあえず一回行ってみてからどうするか判断するしかないだろう。

 良階位の魔獣ならなんとかなっても、優階位の魔獣はさすがに手が出ないからなあ。まあ少しくらいなら魔道具とかで気配を消すことで逃げることはできると思うし、飛行魔法を使えば逃げることもできるだろう。ただ魔法で攻撃してくることもあるので油断はできない。



 すでに日が落ちたので夕食をとってから宿に戻る。夕食はおすすめらしい定食屋のようなところで食べることにしたが、まあ普通の料理と味だった。鳥料理が多いのはこの大陸では普通のことなんだろう。

 宿に戻ってからシャワーを浴びて眠りにつくが、町に泊まったときの初日はかなり激しいことになって大変だ。




 翌日はカサス商会に顔を出して魔符核を納める。このあと向かう予定のサビオニアにはカサス商会は店を出していないらしいので、できるだけこの国にいる間に納めておいてくれと言われていたのである。

 この国でも貴族相手は大変なのに、さらに貴族支配の厳しいサビオニアでは商売は無理だろうと判断しているらしい。また流通もあまり活発ではないことも参入しない要因となっているようだ。

 そのあとは役場で話を聞いたり、資料を見たり、買い出しをしたりする。夜のお店では冒険者が多そうなお店に入り聞き耳を立てる。特に声をかけなくてもいろいろな情報が集まるし、チップをはずむと店員からもいろいろな情報を得られるからね。新しい国に来たときは個別に声をかけたりはしているけどね。

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