183. 異世界1169日目 城塞都市テルクへ
朝早くから出発して東に向かって走っていく。さすがに主要道路ではないので道の整備レベルは下がるが、そんなにひどいわけではないので大丈夫だ。魔獣なども索敵にはかかるがそこまで強い魔獣もでないので、定期的に討伐はされているのだろう。
途中はいつものように拠点に泊まりながら3日目のお昼にはテルクの町に到着する。テルクの町はそれほど大きな町ではないが、かなり立派な城壁に囲まれたところだった。少し離れた山の方には良階位の魔獣まで出るし、王都からも近いので冒険者には人気のところのようだ。
人の出入りはそれなりにあるみたいで入場口にも結構な列があった。特に貴族用の入口がないので普通に並んでいたんだが、どうやら貴族用の入口は少し南側にいったところにあったらしい。そのまま人の流れに付いてきてしまったからなあ。まあそこまで待ったわけではないからいいけどね。係の人はかなり焦っていたけど。
町の規模はそれほどではないが、貴族の人も多いのか貴族エリアがあるようだった。どうやら王都から貴族の冒険者が結構来ているみたいだ。まずは事前に聞いていた宿に行って泊まるところを確保する。
今回泊まるのは平民エリアにある宿で、1階が食堂になっていて2階からが宿泊の部屋になっているよくある形のところだ。シャワーとトイレは共用となっているが、建物も綺麗なところで雰囲気は良い。ダブルの部屋で朝食付きで800ドールなら十分だろう。
ここは事前にデリアンさんに聞いていたところで、デリアンさん達の分も仮予約を済ませておく。部屋はシングル二つと言うことなので付き合ってはいないのだろう。自分たちは付き合う前から同じ部屋を取っていたけどね。
このあと役場に行って登録を済ませる。役場は一つしか無いようだが、貴族専用の窓口が別途設けられていた。手続きをしていると貴族用のところの窓口で大声で怒鳴っている人がいた。なんなんだ?
「わざわざ申請したのになぜ1級の調査許可証が発行されていないんだと聞いているんだ!」
「申し訳ありません。何度もご説明させていますように発行申請は受け付けていますが、残念ながら発行できないと連絡を受けています。こちらでは詳細についてはわかりかねますので、王都の役場にて確認をお願いします。」
「くそっ!!わざわざ調査に来てやったというのにこれだったらいつもと同じところにしか入れないではないか。これだけ実績報告をしているのに許可を出さないとはふざけてる。」
どうやら1級の調査許可証が発行されなくて怒っているようだ。貴族と言っても何でも簡単に許可証が発行されるわけではないみたいだな。まああまりあんな連中に関わらない方がいいだろう。
このあとは役場の資料を見てみるが、王都で読んだものとそこまで変わらない。とりあえず狩り場の確認をしておく。依頼書も特に変わったものが張り出されているわけでもない。
このあと聞いておいたお店に行って夕食を食べてから宿に戻る。食事は一人100ドールくらいで結構な量を食べることができるので物価はそれほど高くないようだ。まあ貴族エリアだとこの倍はしそうだけどね。
翌日からは近くに狩りに行くことにしたのでいったん宿はキャンセルしておく。ここから東に行ったところが岩場になっているらしく、岩系の魔獣が結構いるらしいのだ。素材も結構良い値段で売れるようなのでお金にもなるからね。
車で半日ほど走ったあたりから木々が少なくなって岩場が多くなってきた。砂漠という感じかな?このあたりには並階位~良階位の岩蜥蜴、岩蠍、岩蜘蛛、金属蜥蜴、金属蠍、鉄蜘蛛という魔獣がいるようだ。金属蠍や金属蜥蜴は以前にも何度か狩ったことがあるので戦い方は慣れている。どの魔獣も雷系の魔法に弱いので狩りやすいと言うこともある。
ただ岩蜘蛛と岩蠍は素材になるところがないので倒しても魔獣石しか収穫はない。岩蜥蜴も肉の部分が少しだけということで収入にはほとんどならないのが残念なところだ。しかも解体は気をつけないと刃がやられてしまうしね。うまく関節部分に刃を入れないといけない。その上位種は素材がかなりの値段になるのでかなり美味しい魔獣なんだけどね。
前に比べて装備も良くなったし、戦闘力も上がっているのでかなり楽に倒すことができる。まあ雷魔法の威力が上がったことが一番効果が大きい。3匹くらいなら十分に対処できるからね。ただ探す方に時間がかかるのでそこまで荒稼ぎというわけではないが、一日で5万ドールくらいは稼げるのでかなり美味しいことには変わりは無い。
ここで4日ほど狩りをしてから待ち合わせの日の昼にテルクの町に戻ることにした。到着は夕方くらいになると言っていたから十分間に合うだろう。
役場に行って買取を依頼するとかなりの額になった。4日間で20万ドール近くなので十分な収入だろう。買取額の上乗せもあるので余計にありがたい。
お昼を食べてから買い物をして宿に戻ると、デリアンさんとカルアさんがちょうど宿に着いたところだった。さすがに収納バッグとかがあるわけではないのでかなりの荷物を持ってきている。このあたりはしょうが無いだろうな。
宿の受付を終えたところで夕食に向かうことにした。この町に来たらいつも行っているというお店があるのでそこに行くことになった。今回はお礼をかねておごってくれるらしい。一緒に行きたかったので事前にこの店のことは教えてくれなかったようだ。
お店は平民用なんだが、ちょっとおしゃれな感じのところだった。どうやら学生時代の同級生がやっているところらしく、店長らしき人が挨拶にやってきた。
「デリアン、久しぶりだな。カルア以外の人と来るのは珍しいな。」
「ああ、今回遺跡調査の依頼を受けてくれた二人なんだ。いろいろとお世話になる人だからよろしく頼むよ。」
簡単に挨拶をするが、自分たちの身分のことはふせてもらっている。
「ところでお前はまだ結婚はしていないのか?」
「そんな相手とかいないからな。」
その言葉に店長のルミナスという人はため息をついていた。
「研究に没頭するのはいいが、もう少し周りを見た方がいいぞ。もうおまえもいい年だろう。カルアも苦労するな?」
やはり二人の関係は思った通りのようである。自分も鈍いとは言われていたが、デリアンさんよりはましだろう。そう思っていたんだけど、ジェンに「誰かさんと同じね。」と突っ込まれてしまったよ。
このあと料理はお任せで注文してもらい、食事を堪能する。ちょっとスパイスの利いた料理が多かったが、十分に楽しむことができた。
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