48. 異世界209日目 サクラののみの市

 月末の今日と明日は年に1回の大きなのみの市が開かれる。来月の9/15がヤーマン国の建国記念日となるらしく、そのときは町中で大騒ぎとなるみたいで、その前にいらないものを処分したりして資金を貯める人も多いらしい。

 他の町でも建国記念日の祭りは行われるようだが、もちろんこの町の祭りの規模が一番大きいようだ。せっかくなので少なくともそこまではこの町にいようと言うことになったので宿の宿泊は延長している。



 近くのお店で朝食を食べた後、1時からすでに市が始まっているので早速見に行くことにした。鑑定レベルが上がっていればもしかしたら見るだけで鑑定できるようになっていたかもしれないが、まだ時間がかかりそうなのでそれは無理だ。

 どんなものが見つかるかは分からないが、一番は自分たちの装備品の質向上である。それ以外にいいものがあればそれを転売すればその分を新しい装備に回せるだろう。このあと移動することになるかもしれないので、一番装備が充実しているサクラでできるだけ装備はそろえた方がいいと考えている。



 武器などの装備品、アクセサリーのお店を中心に見て回るが、確かに安く売られているものもあるんだが、低レベルのものだったり、かなり劣化していたりするものが多い。まあもともとがいらないものを処分するのが目的だからしょうがないと言えばしょうがないんだけどね。魔道具もちょっと変わったものも出ているが、収納バッグがあるとはいえ容量に制約があるからなあ。


 まああまりムキになって探してもしょうがないと割り切って、いろいろと店を見ながら歩いて行く。いろいろ売っているお店の他にも食べ物やゲームの屋台も出ているので適当に覗いていく。リンゴ飴のようなものや綿菓子のようなものもあったので懐かしいと思って買ってしまった。


 「次はあれを食べよう!!」とジェンにあちこちの屋台に引っ張られるが、ジェンは少しだけ食べて味見をしてからこっちに渡してくるので自分はおなかがいっぱいになってしまう。いろいろ気になるのは分かるけど、もう少し食べてください。

 そして間接キスとか気にしていた自分がなんか気恥ずかしい。食べかけや飲みかけのものを次々と渡されるのでそんなの気にしている風でもない。アメリカだとこんなものなのかね。



 あとは大道芸のようなものや楽器の演奏なども行われている。手品ではない本物の魔法を使ったパフォーマンスもあるのでなかなかの迫力だ。楽器はバイオリンのようなものやギターのようなものなどで特段変わったものがあるわけではないが、音楽や歌自体は聞いたことがないものが多かった。まあ当たり前かな。



 結局2日間でいろいろ見て回ったが、観光みたいな感じになってしまったのはしょうがないところか。まあ自分も楽しかったからヨシとしよう。



 そうはいってもさすがに首都と言うだけあって結構いろいろと手に入った。自分たちで使えそうなものは使っていってもいいが、他のものは修理してから売る方向かな?購入金額は少し値引きしてもらったけど、もともとかなり安いので値引きしてもらっても数十ドールくらいだ。



名称:鉄の槍(低)

詳細:鉄を鍛えて製作された槍。製品の強度が20%向上する。製品の切れ味が10%向上する。錆びているため真価を発揮できない。

品質:高

耐久性:高

効果:高

効力:強度向上-2、鋭利向上-1


 5000ドールで売られていたもので、ちゃんと手入れすれば高レベルになりそう。今のところ使う予定はないので売却かな?



名称:クロスボウ(低)

詳細:魔樹材から製作されたクロスボウ。耐久性が20%向上する。打ち出す矢に風魔法を付加して威力、精度を向上させる。壊れているため、効果が発揮できない。

品質:良

耐久性:良

効果:良

効力:耐久性向上-2、風魔法-3


 壊れているため、ジャンク品として1000ドールで売られていたもの。弦の部分が切れており、本体もかなり汚いんだが、修理できればかなりよさそう。ただ魔法を使えると弓の出番はあまりないんだよなあ。



名称:牙猪の革の籠手(高)

詳細:牙猪の革から製作された籠手。製品の強度が20%向上する。耐久性が10%向上する。

品質:高

耐久性:高

効果:高

効力:強度向上-2、耐久性向上-1


 1000~10000ドールくらいでいろいろ防具を売っているお店でなぜか10000ドールで売られていたもの。サイズもちょうどよかったのでジェンが使うことにした。



名称:鉄の兜(低)

詳細:鉄と大角牛の革から製作された兜。製品の強度が20%向上する。錆びているため真価を発揮できない。

品質:高

耐久性:高

効果:高

効力:強度向上-2


 革の籠手と同じところで5000ドールで売られていたもので、これも鉄の部分が錆びており、革のところもかなり汚れているものだ。自分が使うのに良さそうだった。



名称:鉄の小盾(低)

詳細:鉄を鍛えて製作された小盾。製品の強度が20%向上する。筋力が20%向上する。錆びているため真価を発揮できない。

品質:高

耐久性:高

効果:高

効力:強度向上-2、筋力増強-2


 5000ドールで売られていたもので錆が出ているが、整備すればかなり良さそうなもの。これはジェンに使ってもらう予定だ。



名称:魔術のネックレス(高)

詳細:銀製のネックレス。魔法使用時威力が向上する。

品質:高

耐久性:並

効果:高

効力:魔力強化-2


 12000ドールで普通のネックレスとして売られていたもので、指輪と相乗効果があればジェンに使ってもらう予定。だめだったら売ればいいと思っている。



名称:魔術の指輪(高)

詳細:銀製の指輪。魔法使用時威力が20%向上する。

品質:高

耐久性:並

効果:高

効力:魔力強化-2


 12000ドールで普通の指輪として売られていたもの。これも今の指輪と相乗効果がなければ売る予定だ。



 このほか美術品とかも掘り出し物がないかと探してみたんだが、数があまりに多すぎて諦めた。美術品はよっぽどじゃないと難しいな。本気で転売をするのならなんとかできるかもしれないが、お金に困っている状態でもないからねえ。

 まあ気になる絵があったらくらいの感覚でいいだろう。家とか借りたら転売ではなく購入を考えてもいいけど、しばらく予定はないからね。

 手軽な転売としてアクセサリー関係は前と同じようにいろいろと見て回り、転売できそうなものを購入していった。


 アクセサリーを売っているお店でジェンが気に入ったものがあったみたいで食い入るように眺めていたのでそれも購入した。特に効果が付与されているわけではないものだが、鳥の羽根をかたどったきれいな銀とガラスのブローチである。お礼を言われるが、ジェンと一緒に稼いだお金なので特に気にしなくてもいいんだけどね。




 買ってきた魔力強化のアクセサリーを試してみたが、残念ながら効果の向上はなかった。まあ複数装備して効果が上乗せされるのであればいくつもつければとんでもないことになるからねえ。ということで今回購入のアクセサリー関係は売却決定である。




 後日今回購入したものは鍛冶屋に持ち込んで修理してもらい、一部は買い取りしてもらった。あれだけの中からよくこれだけ見つけられたなあとかなり感心されてしまった。さすがに全部を今回ののみの市で見つけたわけではないとは言っておいたけどね。

 クロスボウだけは専門外なので他で修理してくれと言われたので、大体の価格だけ教えてもらったのでどこかで修理してもらわないといけないな。


鉄の槍(高):修理代=2,000ドール、購入額=5,000ドール、売却額70,000ドール

クロスボウ(良):購入額=1,000ドール、価値=900,000ドールくらい

牙猪の革の籠手(高):購入額=10,000ドール、価値=70,000ドールくらい

鉄の兜(高):修理代=3,000ドール、購入額=5,000ドール、価値=60,000ドールくらい

鉄の小盾(高):修理代=3,000ドール、購入額=5,000ドール、価値=130,000ドールくらい

魔術のネックレス(高):購入額=12,000ドール、売却額=70,000ドール

魔術の指輪(高):購入額=12,000ドール、価値=120,000ドールくらい


 今まで持っていた革の籠手(並)、革の帽子(並)、鉄の小盾(並)、魔術の指輪(並)は売ろうかと思ったが、予備として収納バッグに入れておくことにした。もしもの時に換えがないと困るので金銭的に余裕がある間は1つ前の装備だけは保管しておくことにしよう。


 購入費と修理代含めて6万ドールと結構かかったが、14万ドールの売却金と、120万ドールくらいの装備と考えると10倍以上と半端ないもうけだな。まあ今回はクロスボウの価値が大きいけどね。そうそうこんなものが手に入らないだろう。見る人が見たら魔符核でわかるからね。


 宝石関係は思ったほど価値はなくて5千ドール使って1万5千ドールになった位だった。まあもうけは出たけどね。

 正直転売だけでも結構稼げそうな気がするのは気のせいだろうか?とはいえ、あまりおおっぴらにやっていると絶対に目をつけられるのでほどほどにしておいた方がいいかもしれないね。年に数回ののみの市や骨董店で適当に気になるものがあれば買っていくというくらいがちょうどいいかもしれない。



~ジェンSide~

 大きなのみの市があるというので買い出しに行くことになった。転売すればかなりもうけが出そうだけど、あまりおおっぴらにやると目をつけられかねないので、ほどほどに見て回ろうと言うことだった。

 もちろん私たちの他にも鑑定スキルを持った人たちも見て回っているだろうけど、壊れていたりしているものについては彼らの鑑定だけでは判断できないので私たちはかなり有利なのよね。



 せっかくだから食事は屋台で食べようというので、食べたいものを片っ端から買っていった。いろいろ食べたいので一口だけ食べて後はイチに渡して食べてもらう。おかげでいろいろなものを味わえて良かった。

 私が食べたものを渡すと、怪訝な顔をしていたので「私の食べかけじゃ気に入らないの?」というと「そういうわけじゃないんだけどなあ。」となんか納得できないような表情をしていた。「間接キスになるのに・・・」とかブツブツっているけど、今更だよね。イチはこういうことはかなり気にしてるなあ。



 地球で持っていたような鳥の羽根のブローチがあったので熱心に見ていたら、イチが買ってくれた。幼い頃に父から誕生日プレゼントでもらったお気に入りのものに似ているものだった。特に理由も聞いてこなかったけど、ありがとうとお礼をしておいた。大切にしよう。

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