第9話【喧嘩】

今朝、ヨルナミはワタに呼び出さる

「俺らで山に潜るぞ」といきなり言われヨルナミは2人について行ってみることにしてみた

山に入るとキロルが用意をしていた基礎体力を上げたりするトレーニンググッズが大量にかれていた。これは全部キロルの手作りだそうで、とても立派な物でどれも初めて見るもので伊吹さんの所に居た時よりもしっかりとした物だ

「ここまで出来たのは信者たちが手伝ってくれたお陰だ。少し嬉しかったな」

キロルは嬉しそうに笑いながら話していた

その目はとても輝いている

「とりあえず……これはどうするんだ?」

ワタは興味津々で色んなものを見渡す

どれもこれも初めて見るものだった

「とりあえず始めようか」

キロルがそういい、トレーニングが始まった


トレーニングは丸一日続いている

その夜、ワタはお腹がすいたのかキロルに対して

「夜ご飯はどうすんよ?」

キロルに聞いていた

するとキロルはベルトに括りつけていた袋から何かを焼いたような物を取り出し

「夜飯?これ食え」

見た目こそいびつだが少し美味しそうだが少し口に運ぶのは怖い。でも空腹という気持ちが勝ち、ワタはそれを口に運ぶ

するとワタは目を丸くして「美味いな、これ。なぁ、ヨルナミ」

キロルがさりげなくヨルナミにも渡されていたので、少し気にはなっていたがをワタに勧められて、恐る恐る口に運ぶ

とても芳ばしい。そして、とてもクリーミー。苦味もなくとても美味しい。病みつきになりそうな感じがした

「うん、これは美味しい。変わった食感。これはなんていうの?」

とても美味しく、また食べたいと思ったから、とても気になり聞いてみる

「これは甲虫の幼虫だ」

え! ? あの虫 ? !

「ブッッッ」

2人とも驚きが隠せない余り、吹き出してしまった

「山だと貴重なタンパク源で山に潜るならって探してきた」

タンパク源でも、虫…虫は無理だ…

「それなら先言ってよ」

当然のように思った言葉が2人からは出てくる

「知らぬが仏」

それなら少しはオブラートに包むとかしろよと内心思いつつも美味しかったからまぁ……美味しかったからいいよ

「キロル、次からは虫とかじゃないもの食わせろ」

ワタはもう食いたくないかのような表情で言う

「わかったわかった」

適当に流されたが、結局の所もう虫は出なかった

その次の日はカラスの焼き鳥

こいつ……ゲテモノが好きなのか……?

ゲテモノ料理が多かったがなんだかんだ美味しかったのだった

「ヨルナミ! 食え」と耳元でワタは呟く

「いいけど……ワタも食べてよ……」

そればかりでいつもワタは何も食べようとはしなく、ヨルナミに食わせ、少しギクシャクし始めたのだった


トレーニングが始まって気付きたら1ヶ月が経っていた

しかし、休憩もろくになかったので、ヨルナミは体力の限界が近づいてきたいた

ヨルナミはワタやキロルよりも体力が少ない。だから、始まってしばらくしたら体力の限界が来てしまってらすぐにばててしまう

「ごめん……休ませて……」

ヨルナミはそういうがワタにははお構い無しで

「ヨルナミっ! 頑張れや!最近バテすぎだ! 」とワタはヨルナミを注意する

「頑張ってるから……」

ヨルナミの中で全力を尽くしてやっているのにワタは気付いていない

「それが本気なら、俺はもっと本気出してることになるぞ」

「君と僕は違うんよ。動いたりできる距離も、なにもかも」

「いや、違う。俺とお前はいつも同じ事をしているから同じはずだ」

ワタとヨルナミの意見の違いが2人に大きな溝を膿んでしまった

その日はたまたまトレーニングが早く終わり、息抜きがてら3人は教会に帰る事にした

「2人共、ご飯できたぞ」

キロルが2人を呼び、同じ部屋に入るといつもは喋っている2人が何故か顔を合わせようとしない

溝が膿まれた2人のことを知らないがキロルが何となく2人の目を観ると目がいつもならとても輝いているが輝きを失っていることに気づく

どこか寂しそうな雰囲気がしていた

ヨルナミは飯を食おうとはしない

「飯ぐらいしっかり食えや」とワタが何もしないヨルナミに言う

「分かってるよ」とヨルナミは少し怒っている様子だった

「飯ぐらい笑えや」とヨルナミに注意する

「お前に言われたくない」とワタにも同じ事を言う

「まぁまぁ、2人とも笑ってよ」

2人の雰囲気にキロルは心配をし、話をしようとするが話を聞こうとはしなかった

その事にとても寂しさを感じたのか

「ごめん……わい、部屋に帰るよ……」といい、キロルは部屋に帰って行く

その目はとても、とても寂しそうで、目頭には大粒の涙が溢れていた

「お前が飯食わんからキロル部屋に帰ったやん」とワタはヨルナミに当たる

「お……お前も僕に切れるから……だ」

ヨルナミも同じ事を言い返す

「そう思うなら、出ていけや。キロル泣いてたぞ。お前が無視するからだ。お前とはやって行けそうと思ったけどダメだったそうだな」

「それはこっちのセリフ。言わなくても出ていくよ。さよなら」

そういうとヨルナミは教会を飛び出し出ていく

「騒がしいやつも出ていったな。これでゆっくり飯が食える……」

そういうとワタは飯を食べ始めた

いつもはヨルナミと、キロルと、3人で喋りながら食べている


一人で食べるのは1年半振りかな……城に居る時はいつもこれが当たり前だったから……慣れている筈なのに……分からない……なんなんだろう……気持ちの整理が追いつかない……


その次の日を境にワタは部屋に篭もるようになった

「ワタ……?」とキロルが呼ぶが呼び掛けにも答えない


キロルはまた独りぼっちになってしまった

あの日、父が出ていった理由を知らず自暴自棄になってしまい、怒りの矛先は父ではなく信者になっていたのだ

信者が寄り添ってくれてるというのに気付かなかった

本人は自分を傷付けるというのが1番の答えなのだと思っていた

あの時、もし父から手紙が来なかったら……今頃本当にノルト教は終わっていたんだろう

今、自分に起こったことが2人に起こっている

どうすればいいんだろう。その答えをキロルは探そうと、本棚のある部屋に入った


ヨルナミは荒れ狂う雨の事を走っていた

「はぁ……はぁ……とりあえず、ここまで来たら……大丈夫かな……」

ヨルナミは丁度雨宿りが出来そうな木の下を見つけた

取り敢えずここで寝ようと思い、ヨルナミは寝転がる

寝心地は悪いが牢と比べたら、全然平気だった

最初は山に隠り、偶然生えているリンゴとかを取り日々を過ごした

その生活が3日ぐらい続いた

ある日、ヨルナミは昼間なのに凄い眠気に襲われる

そしてある日その眠気さに負けて寝てしまった

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