第二楽章【タトイヒ国と宗教】
第7話【キロル・ノルト】
早朝、宿を後にしたヨルナミとワタは情報を集めに街の様子を観に行くことにした
そこには昔から過ごしていた雰囲気は残っていたものの、少し暗い雰囲気が漂っている
街の人に理由を聞いてみよう
そう思い、一人に声をかけた
しかし声を掛けた人はいくら呼んでも返事がなく体をさすってみるとゆっくりと倒れた
体を触るととても冷たく、脈もない
そう、死んでいるのだ
2人が街にいない間に変わり果てていた
そんな中、いきなり男が声を掛けてきた
どこにでも居そうな人で、目はこの状況ではおかしい気がするが少しばかりだが輝いていふ
「ノルト教に入りませんか?」
いきなり宗教の勧誘を受ける
その人は街がこんなになのにも関わらず明るい目をしてとても生き生きとしているのだ
「ノルト教はかつてノルト神様がお作りになられた宗教です。現在の教祖様は素晴らしいお方です。ぜひ付いてきてくれませんか?」
流石にこんな忙しい中やばいという雰囲気がある宗教に関わっている暇もない
「そういうのはいいです」
ワタは適当に流す。次は僕に来そう。そう思ったヨルナミもすぐに「僕もいいです」
と却下をした
どうしても男は宗教を勧誘したいのか
「ノルト教は世界の人々を笑顔にさせる為に作られた宗教で、現在で27代目となる歴史ある物なんですよ。毎日祈りを捧げれば、きっと貴方たちは報われます」
「それでも大丈夫ですから」とヨルナミは強く拒否するが男はそんなことをお構い無し
「教祖様に今日会えますから! 」
といい、2人を無理矢理引っ張って行った
連れていかれた先は立派な教会で中は金で装飾されており大きな大きな、圧倒するようなステンドグラスが飾られていた
「教祖様が参ります」
一体教祖様とは誰なんだろう
恐る恐る顔を上げてみると身長が160cm程の男の子が椅子にとても丁寧に座っていた
とても美しく、美男子という言葉はこの人の為にあると言ってもいいほどの美貌だった
目も信者以上に輝いていて髪の色は綺麗な茶髪だった
「そんなに頭を下げなくてもいいよ。それより君たちは……新しい信者かな?」
声もとても爽やかな声で2人に話し掛ける
とりあえず、勘違いを解かないと行けないな
「とりあえず、名前を教えてくれ」
名前を聞かれ、ワタが答える
「俺はワタワタ。こいつはヨルナミ。信者希望じゃなくてこいつに引っ張られてこられただけだ」
ワタが名乗り、ここに来たこと理由を話すと教祖さんは少し名前に反応し、その後とても申し訳なさそうにして
「ごめん! うちの信者がっ! 人それぞれ価値観があるから勝手に押し付けるなって何度も言ってるのに。わいが後で叱っておくわ」
そう言いながら教祖さんは凄い勢いで土下座をした
「まぁ、そんなお見苦しい事はしなくていいから。それより、君はなんて言うの?」
ヤバいやつだとは分かったけど、とりあえず名前を聞いてから考えよう
とてもいい人そうだし。そう思い、声を掛けてみた
名前を聞くと少し笑いながら
「そうか、まだ名乗ってなかったか。わいはキロル。キロル・ノルト。このノルト教の27代目教祖なんだ。よろしくな」
キロルか……
覚えやすいな
「そういや、ワタワタ。」
キロルがワタのことを呼ぼうとすると
「ワタでいいよ。みんなそう呼ぶし」
ワタワタと呼ばれることは不慣れだったのか直ぐに訂正をするように言った
「そうか、なら」
というとキロルは何かを確信したかのような顔になり、言いたそうにしていたことを言う
「ワタってやっぱりあのくそ国王の息子と同じ名前じゃないか」
察しのいいキロルに対し2人は驚愕をする
「もし、俺がそうだと言ったらどうする?」
ワタが少し警戒をしながら聞く
「いや、何もしないぞ。むしろ助けるぞ」
目を観てみるとそれは透き通るように美しく、裏なんて無いと言わんばかりに綺麗な目をしていた
この人なら、信じてもいい気がする。教祖と呼ばれている理由も何となくわかるかも
それなら、なんでここまでも優しい目をしている人が国王の事をくそ国王って言うのかが少し気になる。でもここまでの人を怒らせるって事は相当凄いことしたんだなと感じてしまう
「それでもなぁ……」
ワタが言おうか悩んでる時にヨルナミは「そうだよ。この人がワタワタ・イヒ・タト。」
悩んでいる時にいきなり名前を言われワタは驚き、ヨルナミを止めようとする
「いやいや敵かもしれないのに、なんで言うんだ?」
「この人は信じてもいい。そういう目をしてるから大丈夫だと思う」
少し無理があったがワタを何とか説得し「お前が言うことだ。信じよう」
と言ってくれた
「僕は……」
ヨルナミが名乗ろうとすると
「ヨルナミ=ユナミだろ?」
キロルが何故かフルネームで言った
「なんで、フルネームを知ってるの?」
どういう理由があるか気になったから聞いてみることにした
すると、キロルは申し訳なさそうにしながら「ごめん、言えない」と理由を教えてくれそうになかった
何でだろう。「少しでもいいから教えて」と掘り下げようとしても「ごめん、言えない」という決まった回答しか帰ってこなかった
これ以上聞くのは辞めておこう
「キロル、でなんで俺のクソ親父の事をくそ国王って言うんだ?」
「それはだな。わいの親父はあのくそ国王に殺された」
2人は驚く。そして何故なんだろうと思う
「何故だ?」とワタは当然のように理由を聞く
「分からない……でも、あの親友の2人がギスギスし始めた時にだったから、そのはずだ。それに……」
キロルは知らず知らずに出てきた涙をふき紙を取り出した
それは凄く血が滲んでいてとても読める状態ではない。届いた時はもっと読めない状態だったのをキロルが長い長い時間をかけて修復したのがこれだそうだ
確かに何故か僕の名前やワタの名前がある
「俺の親父は昔、この辺で有名な予言者だったからな……予言出来たのを書いたのだろう」
2人は遺書を見せてもらった
キロルへ
これは遺書だ。こころして読め
まず、お前を今からノルト教27代目教祖に任命する。心して人を導け
私は国( )に殺される
自分の最期は予言していた
最初は驚いたよ
まさか( )だったとは
王子が( )が、その者にももしかしたらそれの能力が写っているかもしれない
だが、王子は気が強い。だから、大丈夫だろう
王子の名前はワタ。
( )年後には来るだろう
ヨルナミってやつを連れて
ヨルナミは( )に入れる。
私と一緒に出ていったユナミという女性は彼の( )来たら伝えてくれ
彼の名前はヨルナミ=ユナミだからな。
だから、頼んだぞ
( )を持って来ると思うから、( )の( )に入れた時の( )を教えてくれ
お前の予言能力は( )だが、幸運を祈る
頼んだぞ
「ほら血だらけで酷いもんだろ、最初はもっと読めなかったんだがな」
遺書を見ると色々と気になる所があった
僕が入れる場所? 僕の姓がお母さんの名前? どういう事だろう。こればかりはキロルに聞いても分からないかもね
「そういや、君ら泊まるところあるのか?」
話や考え事をしていると日が暮れそうになっていた
「いや、特にはないぞ」
「なら、うちに来るか?」
キロルは自分の家に2人が来ることを提案した
確かに、少しは安全かもしれない
「お願い……します」
「なら、決まりだな」
こうして、3人で過ごすことが決まる
キロルの家はお城と言わんばかりの豪邸だった
広い……
「んじゃ着いてこい」と言われ、2人はついて行く
「ここがヨルナミで、ワタな」
2人は部屋を貸してもらい、ヨルナミは疲れを取るためにすぐに眠りに付いた
その夜
「キロル、少し聞きたいことがある」
ワタがキロルのいる部屋に入ってきた
「なんだ?ていうか、ヨルナミは?」
「寝た」
「なら良かった。」
「で、何の用だ」
「俺の親父とお前の親父の事について聞きたいんだ」
「なら教えてやろう」
そう言うとキロルは暖炉に火を付けた
パチパチと音が鳴り響く中、キロルは話し始めた
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