第46話エリスvsアリシア
「アリシアさん。私に勝ったら、勇者パーティを抜けてくれるのですか?」
「ええ、あなたを殺して勇者パーティを抜ける。そうすればレオンが私の元に帰って来てくれるわ」
「アリシアさん。あなたはレオン様の故郷にいた頃のアリシアさんに戻ったと思っていました。残念です」
「私とぽっと出のあなたとではレオンとの歴史が違うの。レオンは必ず私の元に帰って来てくれる!」
「......」
俺は無言だった。アリシアの言葉が信じられなかった。アリシアはエリスが俺の思い人だと知って、身を引いた筈だ、それが今さら何故?
「恋は戦いなのよ。私は自分の幸せの為になら、あなたのことも犠牲にする」
「アリシアさん」
エリスは悲しそうな顔をする。エリスは大丈夫だろうか?
アリシアはタレントクラス2の『侍』、クラス4の『虚数戦士』のエリスの敵では無い筈だ。
だが、実戦経験の差に於いては、明かにアリシアの方が上だろう。
先ほどの闘いでも、ベアトリスよりアルべルティーナの方が魔法威力では優っていた。
しかし、実戦経験の差で劣るアルベルティーナは、魔術士としてはベアトリスに勝てなかった。
エリスもアリシアとの戦いでは本当の戦いでの経験値の差が問題になるだろう。
「行くわよ。覚悟なさい」
アリシアは愛刀『
『武技、
アリシアはいきなり武技を放った。いきなり武技を発動できるのは、侍の特徴だ。そして、武技『
エリスは、「きゃーーー」
叫びつつも、すんでのところで避けた。
エリスはアリシアの刃先を紙一重のところで躱したようだ。
それからも、アリシアの切先が次々とエリスを襲う。
「エリスさん、本気にならないと死ぬわよ! 恋は戦いよ。私はレオンを取り戻す為なら、あなただって犠牲にする。首を跳ねればリザレクションでも復活出来ない。分かるかしら?」
「私だってレオン様のことが好きです。あなたには渡しません」
エリス......
頼む、勝ってくれ。
もし、危なくなったらエリスを助ける為、俺はアリシアを倒さなけれならない。
その時はエリアスも動くか?
エリスはアリシアの激しい剣捌きを何度も避け続けた。
一瞬、アリシアの動きが遅くなる。武技、
『武技、レギンレイヴ』
エリスはこのチャンスを見逃さなかった。
エリスが剣を振るうと、魔力の乗った、重い衝撃波がアリシアを襲う。
『ズガン』
衝撃波はアリシアの近くを全て破壊した。
「エリス、危ない!上だ!」
俺は思わず、叫んだ。ルール違反はわかっていても声を止められなかった。
アリシアは『転移』のスキルを使って衝撃波を受ける直前にエリスの上に転移したのだ。
あえて、ギリギリまで我慢したのだ。対戦者の隙を見つける為に、そして、『
アリシアが武技を放ち、叫ぶ、エリスは再びアリシアの技を紙一重でかわす。
いや、ギリギリでしか避けられないのか?
武技のバフの乗ったアリシアは次々と剣技を繰り出していき、エリスは更にギリギリのところで躱し続けている。完全に押されている。
経験不足の所為か、エリスはうまく武技やスキルを使いこなせていない。
そこへ、再びアリシアの武技の効果が消えた。チャンスだ!
「アリシアさん、覚悟」
エリスは叫び、『加速』のスキルを使う、
『加速』
アリシアも『加速』のスキルを使う、二人が交差する。
「私の為に死んで!」
アリシアが勝った、かに見えた......
アリシアの刃はエリスの胴を捉えたかに見えた。
だが、アリシアの刀はその途中で止まった。
「アリシアさん、あなたわざと......」
アリシアは腹から血を流していた。血だけでは無く、内臓も出ていた。
「エリスさん、駄目よ。戦いで躊躇しては。首を跳ねなさいと教えたでしょう? これ位では、私は死なないわよ」
「なんで、アリシアさんはわざと負けるのですか? 私を殺すんじゃなかったのですか? レオン様を取り戻すんじゃなかったのですか?」
「そんな事をしたら、レオンにもっと嫌われるじゃない、それに、あなたを失ったら、きっとレオンは悲しむわ」
「あなたが死んでも、悲しみますよ。アリシアさん」
「悲しむ訳ないでしょ? 私がした事、許される訳ないでしょ? 私はレオンを裏切ったのよ、私は死んだ方がいい女なのよ」
「アリシアさん。死んでいい人なんていません。生きて罪を償ってください」
「クッソー、どいつもこいつも使えない奴らだ。こうなったら俺様が直々に殺るしかないか」
エリアスが不機嫌な声で怒鳴る
「アリシアめ、裏切りやがって!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます