召喚の儀
◆
◆ウィッタード王国 王城 大講堂◆
[[[sira ziam abhanacta ziam seela zashhaa]]]
40メートル四方の空間。その中央に、直径15メートルの巨大な召喚陣が描かれている。
[[[sira ziam abhanacta ziam seela zashaa]]]
巨大な11名の召喚士が召喚の呪文を繰り返し唱える。
召喚士は一人、また一人と魔力切れをお越しながら倒れ、倒れた者から順に黒いローブの魔導士に引きずられ、召喚陣の側から剥がされていく。
そこに白いローブの召喚士が補充として入り、常に11名の召喚士が召喚陣に魔力を注ぎ続けている。
もうかれこれ3時間、召喚陣は青白い光を湛えながらも揺らめいている。
待機している召喚士の数は元は60名程が、次々と魔力切れでその数を減らして残りは4名程になった。
王は宝飾にまみれた錫杖を床に打ち付けると、立ち上がった。
「ジレイ!貴様が女神エルレイア様に夢で賜った召喚術とやらは、妄想の類では無いのか!我が時間を三刻も無為に使わせた罪、どう贖ってくれようぞ!!」
ジレイと呼ばれた、装飾を帯びた白いローブを纏う老いた召喚士長は、獅子王と評されるカイゼル=フォン=ウィッタード王の威厳とその豪胆な声に震える。
しかしそれを悟られぬよう、穏やかに、緩やかにと心掛けながらも語る。
「おお我が王よ…お怒りをお鎮めくだされ…わたくしめが夢で見たのは
ジレイは王の苛立ちを溶かすよう、つとめてゆったりと話し掛けていく。
「ええい!なら何故我が元に女神エルレイア様は現れぬ!王としての我に天意が無いとでも申すのか!!」
「王よ…カイゼル王よ…女神エルレイア様がわたくしめに賜ったのは召喚陣の図式と
「チッ…!まあいい。替えの召喚士あと2名か。それまでは待ってやる」
「王よ…ありがとうございます…。わたくしめも出ます…。」
王が召喚陣の手前8メートルに置かれた急ごしらえの王座にドカッと腰掛けると同時に、召喚士長カイゼルは魔法陣へと歩み寄り声を上げる。
「召喚士諸君、失敗は許されぬ…。ここからはわたくしも参加していくゆえ…最後まで力を振り絞るぞ…!」
ゴウ、と召喚士長より青白い気炎が立ち上る。
「ふん…」
王は召喚陣へと向かうジレイの背中を見ると、苛立ちを頼もしさが上書きしていく様をふと感じる。
「来るのかも分からんな、勇者が…!」
誰にも聞こえないほど小さな声量で、カイゼル王は呟く。
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「…おお…これは…」
召喚士長ジレイの声を発端として、突如、青白い光がその光量を急速に増していき、大講堂全体を真っ白に染め上げる―――。
カイゼル王は立ち上がり、声を上げる。
「おお、おお…!!勇者が…!勇者が…!!」
三度、雷鳴に似た音が鳴り響くと、召喚陣の青白い光に囲まれた中央に、横幅5mの黒い大きな金属の塊と、一人の紺色の服を纏った男が立っていた。
――王へ向けて男は言い放つ。
「我が名は霊能者
(一生懸命考えたけど、ちょっと噛んだ瞬間に盛大に笑ってしまった…!)
「「「!?」」」
一同は驚愕した。レイノーシャ…?ゲジゲェジー…?いやしかし、この男性はなぜ一人で語り一人で笑っているのだろうか…。
王から召喚士から、固まる大講堂の一同を見回し、召喚士長ジルレイはその青年に向けて声を発する。
「あ、あ、あなたさまが…勇者様なのですか…?」
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