植物大学生と暴風魔法使い

新聞紙

あらすじ(新人賞応募用)

 並木優作。将来に不安を感じる大学生。彼は植物になりたい。植物は、どんなことが起こってもその場にとどまり続ける。しっかりと根を張り、どんな災害にも耐える強さを持つ。そして、根から栄養を摂取し、葉を広げて太陽から栄養を作り出す。優作が求めるのはこのような強さだった。

 アンは、魔法都市ロイランの魔法使い。トップクラスの魔術の腕と、都市の外への猛烈な好奇心を持っていた。しかし、この都市は伝統に重きを置き、名誉や出世などを気にする窮屈な場所だった。我慢できなくなったアンは、強行突破する形で都市を脱出する。


 ある時、優作は行き倒れていたアンを拾う。命を助けられたアンは優作に恩返しをしようと並木家に居候することになるが、優作はアンを心の中で拒絶していた。

 アンと長い時間を過ごすうち、優作はアンの自由さに惹かれるようになっていく。また、アンは優作に魔術の才能を見出し、いつか魔法使いとして育てたいと考えるようになる。

 半ば強制的に魔術の鍛練をさせられ、魔術の世界に入門する優作。その時、優作はアンがいかに優れた魔法使いなのかを実感することになる。元々アンが優れていることは知っていた。更に、ここで具体的に理解してしまった。優作はまた落ち込む。

 そんな時、アンは優作を連れ出し、二人で世界を飛び回ることに。アンは優作に世界を見せた。世界がいかに小さくて、いかに小さなことに気を取られているかを説いた。優作も、その体験から、心を入れ替えることを決意する。


 優作が鍛練を始めてから数日経ったある日。大学の帰り道、駅のホームで老人が倒れた。優作は、既に治療用の魔術を習得しており、また魔術を使わない応急手当の経験もあった。しかし、その場では何も出来なかった。優作は、またもやもやを抱えてしまった。そして、そのもやもやが、優作とアンのすれ違いを起こしてしまう。

 すれ違いが原因で、アンは並木家を飛び出す。優作もまた、自分の行いにひどく後悔することになる。

 だが、一度離れたことで二人は自分自身と向き合い、一回り成長して、苦労の末に再会する。

 

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