【女目線の男尊女卑法】~支配されていく日常を少しでも楽しく~
村上夏樹
第1話 ■初日
【変化した私の日常と何か】『男尊女卑法』
■前書き
私は『佐々木 茉莉(まり)』27歳、園芸専門学校を卒業した私は、観葉植物を主に扱う会社に入社し、事務職であり時々営業に同行していて、独身、一人暮らし歴はもう何年だろう。
職場のチームは男女ともに仲良く仕事がとてもやりやすかったのですが、男尊女卑法が施行されてからというもの、男性から私たち女性へ対する意識や言動、行動は徐々に変わってきはじめました。
■初日
本日より『男尊女卑法』という名の法律が施行されたのは紛れもない事実だった。
この法律の目的は「強い国家を作る」といった中二の考えたようなバカげたものであったが、中二病を患ったような馬鹿な男性共によって支持された。
大多数の女性は、その立案に対し不満に思っていたが、政治に関心の無い国民に育て上げられてしまった私たちの想いは同調圧力と共に、空しくかすれていった。
あまりにも不満げな態度を示すことは、法律施行後の自分の人生を左右することでもあった為、一部の活動的な女性を除いては反対の声をあげるものなどは少なく、女子会での愚痴のテーマとしてあげられる程度だった。
そして、時間の経過とともに、共感した大多数の男性と、一部の奉仕精神を売りにするM気の強い女性が、この法律を可決へと導いた。
しかし『男尊女卑法』というのは、いまだ認知度は低く、政府からのガイドラインによると今のところはっきりとわかっているのは、暴力やレイプや児童ポルノのような犯罪になる行為は禁止とされているが、これまでは犯罪だった痴漢・盗撮等の行為は、男性が楽しむ目的であれば合法にするべきでは無いのかなどといった意見が与野党からも出ており審議中だそうだ。
ニュースの映像によると議員達は、これまでのどんな案件よりも真剣に取り組んでおり、居眠りをしたりワニの動画を見るようなものは誰一人としておらず、血眼になり議論をしている様子を見ると。私はこんな人たちに投票しに行ってたことがとても恥ずかしくなった。
おそらく、この様子では痴漢や盗撮が合法になる日は近いのかも知れない、何より男性が楽しむ目的以外の痴漢は存在するのかも疑問だった。
このような政治や世論の様子からも、『強い国家作り』なんてのは男性の欲望をを正当化するための名分でしか無いように思えたが、本当にこのような事が日常生活で起こるのか今一現実味が湧かなかった。
この日、職場では臨時の会議が行われた。
それは今後の社内全体での流れだった。
男性社員の多くは、女性社員に対して同情するような声や、賛成派を否定するような意見を言って、女性の味方だということをアピールしていたが、最終的にはこれから示される労働基準監督署からの通達、もしくは世間の流れを見て歩幅をあわそうということに決まった。
「いつでも守るからね」と言ってくれる男性もいたが、その男性にも襲われる可能性は十重にあり、男性への不振感が強くなっていき、徐々に男性に対しての意識が変わり始めようとしていた。
そのおかげもあってか女子社員達の団結力は強くなったのが唯一の救いだった。
私は昔から女子が群れて行動することに対して、あまり好意を抱かないタイプの女子だったが、今は本能的に群れて行動することを選んでいた。
私たちがいくら群れたところで、もう男性には敵わない事はわかっていないが、一人で怯えるよりも皆で怯えたいという心理からだった。
この日は普段通りに仕事をこなした。いつもより多く視線を感じたような気もしたが、私の勘違いの可能性が大いにある。
帰路につく頃には、陽が落ちて見る見るうちに影は濃くなった。
女性の姿は前日より確実に少なかった。
きっと皆不必要な外出は控えているのであろう、しかし街を一人で歩いているからと言って襲われるわけでは無かったが、いつもより鋭い視線は常に感じた。
たむろしている不良のような若者からひやかしのような声をかけられたが、この日は無視して過ごすことができた。
いつも変化は突然やってくる
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