別荘のインテリア
私はアルバスさんの別荘に飾るインテリアを作ることにした。
うん、別荘にインテリアは必須だし、何よりお洒落な家にするなら飾り付けは必要不可欠な物だ。
奥さんは特にインテリアに対してこだわりがある方らしいし、ここは私の腕の見せ所である。
「さてと、となると、まずはどんなインテリアにするかだけども」
とはいえ、インテリアを作るとて簡単ではない。
上等な物を作ろうとすればするほど、素材の価値は当然上がるし、私もそこは拘りたいところだ。クリエイターだからね、それは当然である。
問題はどんな素材が理想的かなってところなんだけども、やはり、山と川っていう話になるとこれに当てはまるような色彩やデザイン、素材が理想的だろう。
「うーん、ログなインテリアかな。木を使ってなおかつデザインも可愛いもの……うーん」
私は机に向かいながらデザインに頭を悩ませる。
理想的なデザインなんかは発想になってくるので、素晴らしいアイデアを捻り出すしかない。
何個かはもう作ってるんだけども、何というか、個性的なインテリアが欲しいなという私の思いがあった。
「とりあえず……。北の森で素材を集めに行こうかな、行動した方が好転することもあるだろうし」
私はそう呟くと家の鍵を持ち、車に必要な資材を詰め込むことにした。
バッグには中身が空の『メモリア』、『バレッタ』を入れておく。
あとはアルバスさんの家の設計図、これがなかったら作ったインテリアをどこに配置するかわかんなくなるからね。
後は…特にはないか、よし。
私は車に乗り込むとエンジンをかけて車を発進させる。
「まずは素材の場所だなぁ……宝石なんかも余裕があれば入れたいし、モンスターの皮で作る椅子なんかも良いかも」
私はタバコをくわえながら煙を吐き出しそう呟く。
この間のナーガなんて特によかったんだけどね。ヘビ皮とかは割と使い勝手は良いし、特に高級感を出すにはうってつけなんだけど、まあ、そんなことは言ったところで後の祭りだしね。
というか、皮の用途はたくさんあるから、インテリアをつく際の素材としても理想的だ。
特に今回のアルバスさんの家のようにログハウスの別荘ならば、自然をモチーフにしたインテリアは喜ばれるに違いないと思う、多分。
「血生臭いのは嫌なんだけどなー、皮は欲しい」
あ、こんなこと言ってるけど、私マタギじゃないです。
はい、本業は家づくりの職人とインテリアを作る仕事なんで、でも、見ての通り、インテリアを作るのにも別荘を作るにしても素材は必要不可欠なんですよね。
だからこうして集めに行ったりしてるんだけども、ナイフとかも入ってるしね、このバッグの中。
そんなこんなで話しているうちに私は街から外れ北の方にしばらく車を走らせると、目的地の森を目視で確認することができた。
北の森、ここはアルバスさんが別荘を作る山とは違い割と危ない森で知られている。
獰猛な獣やモンスターが生息しており、この森に来るのはベテランの狩人か私のような錬金術師と相場が決まっているのだ。
「ひっさびさに来たけど、相変わらず不気味な森」
この森には魔女が住んでいるなんて話も聞いたことがあるくらいだ。
黒い森、なんて話も聞いたことがある。真意はわかんないけどね、私も錬金術師だから似たようなものだけど。
ここからは徒歩で行く、変に森に車を入れるとモンスターからスクラップにされかねないからだ。
私の愛車がスクラップなんてされたら、私は多分泣く、号泣する。
そうならないためにこうして、徒歩で入るわけだ。
「これも仕事のためだ、頑張ろう」
私は準備した道具を担いで森の中へと入っていく。
なるべく遅くならないようにはしようとは思っているが、万が一の為、キャンプ道具も携帯して持ってきているし、多分大丈夫だろう。
森に足を踏み入れる私を黒い森の木々は不気味に出迎えるように静かに立ち並んでいた。
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