7曲目『J.Boy 』(昭和61年 1986)浜田省吾

 女性アーティストが続きましたが、前回で終了して、ここからは野郎ばっかになります。

 で、野郎臭さがプンプンとするアーティストを持ってきました(笑)


 この人のバラードなんかは、女性リスナーの人も好きになったりするのかもしれませんが、基本、浜田省吾のファンの主体は男性であろうと思い(込んでい)ます。

 ソロデビューが、1976年ですから、かれこれ、40年以上のお付き合いになります。

 私が高校生の頃は、学校帰りの汽車のガラガラの先頭車両に乗って、窓を全開にして浜省の歌をよく唄っていました(笑)窓を全開にしていると、車内に入り込む風の音で私の歌声が消されるんです(と、思い込んでます 笑)。


 一番最初のヒットが、♪ブルー レッド イエロー スクランブル交差点 でお馴染みのカップヌードルのCFソング『風を感じて』(7枚目のシングル オリコン最高25位)。その後、ポツンポツンとオリコン100位以内のシングルを出す程度で、知名度とは裏腹に意外にもそんなにヒットを飛ばしませんでした。

 シングル盤初の1位は、ドラマの主題歌になった『悲しみは雪のように』(B面が『愛という名のもとに』)で、1992年(平成4年)のことです。


 今回取り上げる、『J.BOY』は、シングル盤ではなくアルバム収録曲です。同名のアルバムは、浜省自身初の1位を獲得しています。先に述べた『悲しみは雪のように』の6年も前のことです。アルバムは1位を獲得しているのに、そのアルバムからは1枚もシングルカットされなかった、という大変珍しい現象でした。


 さて、浜田省吾。

 プロテストシンガーと呼ばれますが、私は、“プロレタリアートシンガー”だと思っています。都会で、田舎で、汗と油にまみれながら働き、なけなしのお金をかき集めて手に入れたチケットを握りしめてコンサート会場に足を運んで、ホワイトカラーに向かって拳を突き上げながら歌う…そんなイメージです(笑)

 チケット入手が非常に困難な中、それでも、1998年にチケットを取ることができて参戦しました。

 周りを見渡せば、ことごとく野郎ばっかりです(いえ、きっと女性の方も多くいらっしゃったんでしょうが目に入りません 笑)。開演前だというのに、みんなタオルを首に掛け、わざわざ長袖のシャツを着てきて、そして腕まくりをして気合を入れています(笑) いいえ!私だって野郎の端くれですから、この状況を馬鹿にして言っているのではありません。むしろ、ゾクゾクしていたことを覚えています。

 『J.BOY』は、前の曲がプロレタリアートの真髄曲『MONEY』の後でしたから、それはもう、物凄い盛り上がりだったことを鮮明に覚えています。


 アルバム『J.BOY』が発売された1986年のヒット曲は、かの、おニャン子クラブ系の曲たち、荻野目ちゃん、安全地帯、チャゲアス、アルフィーなんかの曲でした。

 その中にあって、アルバム『J.BOY』は、鋭い切っ先のナイフでスッと邦楽業界を刺してえぐった、そんな感じがしました。そして、ナイフで風穴を開けたその後には、爽やかな新風が吹き込んできた、そんな感じもしました。誰のどの曲にも似ておらず、荒々しくて、しかし、それでいて洗練されていた曲たちでした。


 『J.BOY』は、間違いなく、Japanese Boyの略ですが、この曲で歌われている男が、まさに、今の日本の男の象徴、もしくは、気付かなかったけど、もしかして、自分のことかもしれない、とリスナーの多くが思ったことでしょう。


♪J.BOY  頼りなく豊かなこの国に 何を賭け 何を夢見よう


 この歌詞で、目からうろこが何枚も剥がれ落ちた野郎の一人が、紛れもなく、私でした。



♪『J.Boy』(昭和61年 1986)浜田省吾 (ON THE ROAD 2011 "The Last Weekend"より)

 作詞・作曲:浜田省吾

https://www.youtube.com/watch?v=7dUfaCD5Y0A


 浜田省吾のライブは、祖父、父、息子の三世代が集います。

 三世代が集えるライブは、そうそうないでしょう。

 車の中で、お風呂の中で、そして、もちろん、カラオケで歌われ、半ばゴリ押しのように刷り込まれていった野郎達が集うライブ会場です(女性ファンの方がいらっしゃったら失礼!)。









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