侯爵家の当主になります～王族に仕返しするよ～

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「第二王子の婚約者をオーロラ・フォン・マシュー男爵令嬢とする。及び、テアルスティア侯爵家の後継サイラスと第一王女フローレンスの婚約を発表する」

謁見の間に居る貴族達がザワザワと蠢く。

アルバニア、落ち着きなさい。

私は自分を叱咤する。ここが正念場なのよ。

アルバニア・フォン・テアルスティア侯爵令嬢。

それが、今の私の立場。

貴族達が私に注目する。

アルバニア、そう、優雅に微笑みましょう。

私は私に言い聞かせるの。

幼い頃から第二王子妃として育て上げられた私だが、今現在は棄てられた傷者令嬢として見られている。

見返すのよ。その為の準備は万全なんだから。

父であるテアルスティア侯爵と、玉座に座る王の正面に進み出る。

私は、優雅にカーテシーを披露する。

名門侯爵家の令嬢として、そして・・・・としてね。

　この世界は、日本人として生きてきた前世の時に読んだ小説の世界。

しかも、私はアルバニアとして4回も産まれている。

ループ！そう、転生してループしている。

今迄の生では、転生していることもループして要ることも思い出さないまま人生を終えていた。

今回は、奇跡！奇跡が起こったのだ。

2ヶ月ほど前に落馬してしまいました。

今となれば、不幸中の幸いだね。

三日間、意識が戻らなかったけど、前世の記憶。

アルバニアとして、ループした時の経験の記憶が融合しました。

New.アルバニアになったの！

だからね、こんな茶番劇なんか許せない。

意識が戻って一番最初の行動は兄を殴った事。

兄のサイラスは、分家筆頭家の次男。

第二王子の婚約者に一人娘の私は内定していたので、将来の侯爵として養子になっていたのだ。

優しいサイラスを幼い頃から慕い、信頼していた。

それなのに。

兄は、第二王子の側近の一人で私が棄てられるのを知っていたのに黙っていたのだから、殴るのは当たり前だ。

王女との婚約は流石に知らなかったらしい。

王家は、この機会に王女の恋心を叶えようとしたのだろう。

だが、私は知っているのだ！

小説を読んで要るからね。

小説での王女は、ヒロインの男爵令嬢と、第二王子の恋のキューピッード約。

そして、現実でも暗躍していたらしい。

名門侯爵家の力を使えば調べる事は容易かった。

私が、第二王子と結婚したら王女は我が家には嫁げない。

でもね、第二王子との事は義務。だから、ちゃんと調整してくれたら私も怒らなかった。

　もう後戻りは出来ない。私はこの場に立ってしまったのだから。

私のカーテシーは優雅で美しい。

幼い頃から仕込まれた王子妃教育の賜物だ。

外国貴族の、王妃、王太子妃よりも美しいだろう。

洗練された大国、ルトビニア王国の名門侯爵家令嬢なんだから。

男爵家の令嬢など足元にも寄せない。

鼻で笑ってやる。

　アルバニア・フォン・テアルスティア、15才。

テアルスティア侯爵家特有の淡い銀髪。紫色の瞳の美少女。

小さな顔は奇跡の様に整っている。

紫色の瞳は、知性を宿し煌めき無垢な白磁の柔肌。

　薄紫の格式高く古典色が強いドレス。私が選んだ鎧。前世とループの記憶からヒロイン男爵令嬢が着るドレスは解っていたから。

第二王子の瞳の色の水色。

前回迄のループでは私も水色のドレスだったわ。

彼女のドレスは王子から送られたドレス。

婚約者でも無い私を惨めに追い詰めた。

　さぁ、皆さん、私と彼女を比べてご覧なさい。

ここにいる人達は比べて要るはず。

私とヒロインと王太子妃を。

王太子妃、彼女には思う事がいろいろとある。

彼女は慈悲の仮面を被った野心家。

皆様、私をよく見て見なさい。

私の一人勝ちに決まっている。

ヒロイン、オーロラのドレスは色もデザインも子供ぽく見えている。

王太子妃は、外国人で有る事が強調されている。

彼女のセンスは、母国の色が隠せないのだ。

代々、王室が仕様している格調高い謁見の間には気品高く、クラシカルなドレスがふさわしいはず。

　15才の少女には少し大人びたドレスが少女の、儚さと美しさを引き立てる。

極上のシルクが、薄紫の美しい流れを作り広がる。

貴族達がざわめく。

少女には婚約者が居ないのだから。

　父親のテアルスティア侯爵が、優しく娘を見つめる。

財務大臣でも有る彼の通常の目線は、この上なく冷たい。

王族も貴族達も、侯爵が娘を大切にして要ると思って無かったのだろう。

ここに要る者達の中で、気付いた者がは冷や汗を流す。

もしかしたらと。

「第二王子殿下の婚約に、御祝い申し上げます。重ねて後継サイラスに王女殿下の降下、お礼申し上げます」

侯爵は、正面の玉座に座る国王に祝と、お礼の返礼をする。

「この度、我が家でも祝事が有りましたのでこの場を御借りいたします」

国王は、尊大に頷く。

「この場に居る皆様に報告いたします。この度、我が娘アルバニアに家督を譲りました」

「テアルスティア侯爵になりました。皆様、宜しくお願い致します」

カーティシーを止め、少女が可憐に微笑むと同時に、謁見の間は大きく、盛大などよめきに包まれた。