8:三つ巴の戦い!!
新は、下駄箱の前でごねていた。
「だーから、俺はいかねーっての!!」
「3人で行こうぜって言っただろー! いーくーぞ帰宅部!!」
どうしても転校生と放課後ティータイムに行きたい金井に、絡まれているからだ。今日はまっすぐ帰って散歩と称したパトロールを行い、一週間の疲れを癒すあの人妻の顔をなんとか拝みたいのだ。
「俺は今日予定があるんだっての!!」
「嘘をつくな嘘を! お前が帰ってやることなんてなー、どーせ自分磨きとかストーキングとかそんなもんだろーが!!」
「い、いや金井くん、それはさすがに失礼なんじゃ・・・」
図星だった。
「あ、あのー、金井くん。神居くんも困ってるしー、今日のところは・・・」
「いーや依那古ちゃん!! こいつは照れ屋で童貞のあんちきしょーなんだよ!! 強引に捕まえてくれないと逃げていく厄介な魚なんだよ!!」
「童貞関係ねーだろ!!」
処女で悪かったな! さとりも心で呟いた。
しかし、どうにも居心地が悪い。金井が騒げば騒ぐほど、部活動や帰路につく生徒が行き来する玄関口で、大衆の視線が集まってくるのだ。つまるところ、女生徒の冷めた目線が、さとりにはきつかった。
(お願いー! 目立たせないでー!!)
行くまいと抵抗する新、なんとしても3人で行こうとする金井、そしてこの場から去りたい自分を見て、さとりは思った。この場から去る方法は一つ。
「かっ、神居、くん、私も3人で行きたいなー、なんて・・・」
新を説得しとにかく玄関口から去ることだ。
さとりは、作りうる限り最大の美少女スマイルを浮かべた。
「・・・」
新は、何とも感情の読めないジト目を向けた。
「・・・分かったよ、1時間だけな。1時間だけだぞ」
「さっすが親友!!!」
下駄箱から靴を取り出し仕方なく準備する新に、金井が抱きついた。
それよりも、ジト目の理由がわからずさとりは年齢を感じるのだった。
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