第46話


「あー、ごめん。えりあるちゃんも高城さんのライバルだった?ごめんね。でも、オレまだあまりプレイヤーの名前知らなくって・・・。」


顔を真っ赤にしてしまっている高城さんに向かって謝る。


どうやらエリアルちゃんの名前を出したことは失敗だったらしい。


顔を真っ赤にするほど高城さんは怒ってしまったようだ。


「ちがっ!!そうじゃないわ。怒ってなんかいないわ。」


「え?」


「な、なんで優斗がちゃん付けで呼んでるのかしら?どうして?どうして?」


高城さんはどうやら怒っているわけではなかったようだ。


では、なぜそんなに慌てているような感じでまくしたててくるのだろうか。


なぜ、耳まで真っ赤にしているのだろうか。


「アキちゃん・・・まさか。」


「アキちゃんって・・・。」


ただ、そんな高城さんの姿にマコトと美琴姉さんは思うところがあったのか、ビックリしたような表情をして、高城さんのことを見つめていた。


「マコト?美琴姉さん?高城さんがどうかしたの?」


なにがなんだかわらかなかったオレは、二人に聞いてみる。


すると、二人は顔を見合わせてから、オレを見つめる。


「優斗・・・気づかないの?」


「優斗は本当に鈍感さんね。誰に似たのかしら?」


「え?」


何故か二人に呆れられたような目で見られるオレ。


「あの・・・高城さん。ごめんね。オレ、なんかしたみたいで・・・。でも、ごめんね。よくわかってなくって・・・。」


「お、怒ってなんかいないわ。ただ・・・ただ・・・・もしかして、優斗ってエンディミオン様なの?」


高城さんが恥じらうようにモジモジと身体を揺らしながらそう確認してきた。


「えっ!?」


高城さんの口から出で来た「エンディミオン様。」と言う言葉にオレは驚きを隠せなかった。


だって、それはオレがキャッティーニャオンラインで使用しているプレイヤー名だからだ。


どうして、高城さんが知っているのだろうか?


まだプレイを始めたばかりで、知り合いもほとんどおらず、なんの成果もあげていないのに。


どうして高城さんがエンディミオンという名前を知っているんだ・・・?


・・・ん?


あれ・・・?


高城さんは、そう言えばオレが「エリアルちゃん」と言ったら反応したよな。


そうして、オレのプレイヤー名を知っていた。


となると・・・。


「え?ええっ!?も、もしかして高城さんって、エリアルちゃん!?」


オレはたどり着いたひとつの可能性を口にする。


すると、高城さんは無言でコクリと小さく頷いた。


「やっぱり。」


「やっぱりね。」


マコトと美琴姉さんはとっくに高城さんがエリアルちゃんだと気づいているようだ。


納得したように頷きあっていた。


というか、まって・・・。


美琴姉さんが本当にミーシャさんだとしたならば、今ここにはオレがキャッティーニャオンラインで出会って仲良くなった人だけが集まっていることになる。


こんな偶然ってあるのか?


あのゲームもかなり人気があるゲームのはずだ。


プレイしている人だって多いはずなのだ。


それなのに、仲良くしているプレイヤーがオレの家に集まるだなんて、普通あり得るのだろうか。


「スッゴい偶然だね。アキちゃん。私、マコッチなの。」


「ふふ。私はミーシャよ。」


「「「ええええええっ!!!?」」」


マコトが自分のプレイヤー名を告げると、美琴姉さんも自分のプレイヤー名を告げた。


そして、美琴姉さんのプレイヤー名に驚きを隠せないオレたち三人。


オレは、昨夜寝ているときに美琴姉さんが自分はミーシャなのだと言っていたから知っていたわけだが、信じていたわけではなかった。


むしろ、ミーシャさんが美琴姉さんじゃなければいいと思っていたのだ。


だって、オレはミーシャさんのことが好きだから。


現実の世界でも会いたいと密かに思っていたのだから。




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