第11話 聖職ギルド③

俺とセントさんは聖職ギルドの受付にいた


「お姉さん、聖職ギルドのギルマスに合わせてくれないかな?」


「急に言われても…」


受付のお姉さんがすごく困っているのがわかる。いきなりギルマスに合わせろとかバカだろこの人。


「生産ギルドのギルマスが来てるって伝えてくれない?」


「ギルマスだったんですか!すみません今すぐ連絡します」


受付のお姉さんの慌てた様子を見てニヤニヤしているセントさん。変態がいるよここに。この一か月と少し一緒にいてセントさんの性格がわかってきた。この人は人が困っていたりするのを見るのが大好きなただの変態だ。


そんなバカなことを考えているとお姉さんが戻ってきて別室に連れてこられた。

少しすると高そうな服を着た男、ギルマスが部屋に入ってきた。金髪で180㎝くらいありそうな身長、しかしイケメンと思いきや今にもはち切れそうなお腹を持っている。


「いきなり連絡もなく来るとは失礼な奴らだなまったく。」


「すいません、デューク伯爵、しかしこちらも緊急なもんでね」


伯爵てことは貴族じゃん、お金持ってそうだなと思ったけど貴族なら納得だ。ちなみにこの世界の貴族の階級は大公爵、公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵の順で偉い。


「それで緊急の用とは?」


「それはですねこんな張り紙がしてありましてね、昨日からこの新人が帰ってきていないんですよ、何か知りませんかね?」


「はて?何のことかさっぱりだな」


とぼけ方がうぜぇ…腹パンしてやろうか?


「ならギルドの部屋を一つ一つ見て回ってもいいですかね?」


「なぜそんなことをさせないといかないのかね?知らないと言っているだろ?」


「何も問題なかったら見てもいいではないですか?」


「いきなり来て失礼だぞ!」


急に怒り出す伯爵、怒るってことは認めているのと同じな気がするけどな。


「おい!こいつらをつまみ出せ!」


おデブくんがそう言うと後ろで待機していた鎧を着た二人が近づいてくる。その瞬間部屋にドスッと鈍い音が響いた。すると鎧を着た二人がバタッと倒れた。ほんの一瞬、セントさんが素早く動いたのが見えた。この人本当に強いじゃん…


「何をした!こんなことしてただで済むと思っているのか!」


伯爵が吠える


「あなたたちこそ、こんなことしてただで済むと思っているのですか?」


「なんだと!おい!こいつらをやれ!」


そう大声で叫ぶと部屋に10人くらいの鎧を着たものが入ってきた。こいつ!初めから待機させていたのか!


「新人君は少し下がっていてください」


俺は素直にその言葉に従った。1分もしないうちにバタバタと全員倒れていった。Sランクこんなに強いのか!この前の女性はSSって言ってたからセントさんよりも強いのか?マジで化け物じゃん。敵じゃなくてよかったわマジで。


「なに!この人数を一人で!何者だ!」


「ただの生産ギルドのギルマスですよ」


そう言って伯爵にゆっくり近づいていく。


「悪かった!だから許してくれ!もちろんあの女も開放する!」


それでもセントさんは止まらない。


「いくらほしい!いくらでもあげるから許してくれ!えぇい!止まれ!近づいてくるな!」


伯爵は壁に追い詰められ逃げ場を失った。


ドン!


セントさんが伯爵の顔のすれすれの壁を殴り腰を抜かしたのか倒れて気を失った。


「うぇーん!怖かったですよギルマスゥ!」


いつも元気なキリカが泣いている。


「よく頑張ったな、偉いぞ!」


と言って頭を撫でながら励ます俺。30分くらいしてやっと泣き止んだ。なにこれ役得じゃんと思ったけど腕がもうあがらなくなり筋肉痛になるタロウだった。


















































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