第2話 永遠と別れ・・・

「ありがとう、貴方との契約はこれで成立よ」


魔法陣の端を消して閉じ込められていた悪魔を解放した。

表情と言ったものが分からない目の前の悪魔は何処か悔しそうにしている様子だ。

それはそうだろう、もしも今の私を殺すことが出来るとすれば契約違反だからだ。


『それでは我は帰らせてもらおう』


そう言って悪魔は姿を消した。

悪魔の寿命と言ったものがどれ程か分からないが丸一日閉じ込められていた事に怒っているようにも見えた。

だがどうあれ私は賭けに勝ったのだ!

こうして私の永遠は約束されたのであった・・・













「奥様はいつもお若いですわね~」

「いえ、そんな事ないですわよ~」

「一体何処の化粧品を使っておられるのですか?」


あれから結婚をして10年が経過していた。

私はあの日の出来事をすっかり忘れていたのだ。

悪魔を帰した後、睡魔に勝てずにそのままその場で寝落ちしてしまったのだ。


起きた私が今までの事を夢だと考えるのは当然であろう。

自分が不老不死になったと言う証拠なんて何一つ存在しなかったからだ。

あるのは見様見真似で書いた魔法陣だけだったのだから・・・


(まさか・・・ね・・・)


不老不死、それを願って悪魔を呼び出そうとした記憶だけは残っていた私は自らの考えに首を振る・・・









更に10年の歳月が流れた・・・

子供も大きくなり、旦那からは加齢臭がするようになったが私は変わらなかった・・・


「母さんって本当若いよな」

「えぇ~そんな事ないわよ」

「街を歩いていても姉だと思われるもん」


子供にそう言われても仕方ない、シワ一つ無い自分の顔は何処から見ても20台前半にしか見えないからだ。

特に驚かれるのが手足だろう、顔だけならば幾らでも誤魔化せるのだから・・・


「これで40台ってのは本当に信じられんわな」


旦那のその言葉は年々重くのしかかるようになってきた。

徐々にではあるが、全く老けない私に違和感を覚え気持ち悪く感じ始めていたのだ。

そして、私は薄々感づき始めていた・・・


自分が本当に不老不死になっている可能性に・・・










「お婆ちゃん抱っこ」

「ハイハイ」


私は80歳になっていた・・・

定年を迎えた旦那と離婚して早15年・・・

年金で生活をしているが不正受給を疑われている・・・

だが何処をどう調べても私が80歳の事実は変わらない、例え見た目が20台だとしてもだ・・・


「本当母さん老けないよな」

「本当、お義母さんが羨ましいわ」


たまにこうやって孫を連れてきてくれる息子夫婦はあまり深く考えないのか、私に変わらず接してくれている・・・

だがそれもいつまで続けるべきか私は悩んでいた・・・

友人だった人は半数が既に亡くなっていたのだ。

このままいけば自分よりも先に息子夫婦が・・・


私は人目も気にしてあまり外にも出なくなっていった・・・

そして、そんな私の元に元旦那の訃報が届き、私は身を隠す決意をするのであった・・・

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