綺麗

堅実、倦怠、怠惰、日常、構成されるべくしてされる地獄の様相はひどく現実的で、まるで自身の体験かのように五感を刺激すると、いっそうのリアリティを帯びることであたかも明日を提示していると錯覚させる。本当も嘘もない世においては事実など初めから思考するほどのものでもなく、流れる水のように肉体に入っては出ていくことをただ繰り返すのみなのである。溜まった水の底には不純物が結晶となって今か今かとその時を狙っており、いつの日かビーカーから溢れ出すことで世界の床を汚してしまおうと考えているのであろう。肉は繋がるが魂は繋がることができず、酷く衰弱した精神は欠損のない完全を求め、その事実が自身を欠くものであるという事実に気づくことは、この世界の開いてはいけない禁断の扉というものに手をかけたも同然なのである。おそらく想像することは容易いが、一度溢れ出した水は、互いを求め、惹かれ合うことで自身の形を保ち、それが結果として、意思を持っているだけなのだろう。今日も煙に巻かれ、今日を煙に巻くことで今日を煙たがる獣のように健康な欠損を遂行するのだ。

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