自分のせいだ。

嫌がらせは上履きと教科書だけでは済まなかった。


休み時間、トイレに行こうと思って席を立った。

その時スマホを机の上に置いたまま行ったんだ。


特になんも考えてなかったけど、机の上には絶対置いたはずだ。


案の定、トイレから帰って来ると俺のスマホは消えていた。


机の下、周り、見たけどどこにもない。

一応カバンや机の中も探したけどもちろんない。


周りにいるのは楽しそうに喋っている佐倉の仲良しグループと陽キャの男子達。


とは言っても俺からスマホ知らない?と話しかける勇気はなかった。


とりあえず何度も周りを探しているがやっぱりない。


「おい」


「え、?」


そんな俺に話しかけたのは陽キャグループの1番優しそうな人…名前忘れたけど。


「なんか探してんの?」


「あっ、ちょっとスマホが見当たらなくてさ。」


「スマホないとかつら‪w探すの手伝うよ。」


「どしたのー?」


「なんかこいつのスマホがないんだって。

おまえも探すの手伝えよ。」


「おー。どんなケース?」


「えっと…青のやつ。」


「おーおけ。」


こいつら…こんな優しかったんだな…。

あいつは優しそうな人だとは思ってたよ…でもこんなに神みたいなやつだとは…、!


名前を忘れていた俺が憎い!!!!、


「はー。…ねぇな…。」


「それな…おいー、そこの女子軍団、青いケースのスマホしらね?」



「青いケース?しらなーい。」


「私も知らないや。」


まぁそうだよな。知るわけないよな。

でもチキンな俺にとって女子たちに代わりに聞いてくれるのはありがたい…。


「そっかー、あれ、佐倉ってスマホ2台持ちだっけ?」


「えっ…?違うけど…。」


「だって今スマホ持ってんのとカバンのとこにもあるじゃん。それ、お前のカバンだろ?」


「え…?」


「…。」


指さしている方向に皆が視線を向ける。


カバンのチャックのある間から青いスマホが覗いている。俺のケースと同じだ。


「嘘…私そんなの知らない…。」


「…」


…やっぱり俺のなのか…。



少しの間辺りは静まり返った。


俺はその中、口を開いてみた。


「…あー、なんでそんな所にあるんだろう…、!

俺が間違えて入れちゃったのかなー。いやぁー、皆ほんとにごめんねー、!」


…そうは言ってみたがそういえば佐倉は茶色のスクバで俺はリュックだ。無理がある。無理があるけどそれでも自分のせいにしたかった。


「…そ、そっか!まぁあって良かった!うん!」


陽キャの優しそうな人がそう言ってくれた。

その人がそう言うと皆もうん、そうだそうだと頷いてくれる。


俺だって茶色のスクバにスマホを入れた覚えなんて絶対にない。


もしかしたらここにいない誰かが机からスマホを落としてしまって、どっから落ちたのかわからずに

佐倉のカバンに入れたのかもしれないし!

だって席隣だしな!!


よっしゃ、そういうことだ。そういうことにしよう。




最近は変なことが続く。


誰の仕業とか考えたくない。




そんなこと考え出したらみんな犯人に見えてきて…怖い。

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