束子の歌

風邪を引いた美意識が

懐かしげな奇跡を吸い上げて

かわを泳いで思い出を

砂金のように見つけたの

子供の瞳に試されて

私は束子を買い置きする

几帳面な空

あおいろあおいで

盧をこいだ

染み付いた幸福の気だるさが

換気扇をくるくる回して

私はなんだかぽーっとするのです


きみは知らない歌を歌う

疑う私に、飛び退く羊

眠れやしないのです

気が気じゃないからね

夜は空が見えないようにする

夜の空は星だけではありません

見てはいけない星もある

私は束子、ちり紙で、子供達を

守るのです

いのちにかえても守るのです

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