第18話 救出、回復
前方で緑のゴブリン2匹相手に6人がかりで戦っている。意外とゴブリンが
俺は、戦いを近くから見ようと腰をかがめ壁際に沿って気付かれぬようにゆっくり忍び寄って行った。
そしたらいきなり、一番大柄な男が手に持った槍で小柄な弓持ちの足に槍を突き刺して、さらにゴブリンのいる方へ
暗がりでうずくまって小さくなっていると、5人組が自分たちの放り投げていた荷物を拾い上げ目の前を走って通り過ぎて行った。どうやら気付かれずに済んだらしい。
一匹のゴブリンが、蹴り飛ばされて目の前に転がり出て来た小柄な弓持ちにこん棒で
そのゴブリンが弓持ちを担ぎ上げて、二匹そろって「グギャグギャ」言いながら、元来た方に戻って行った。
仲間
しかし、あのゴブリン相手に苦戦していたとなると、初心者みたいな連中だったのか? それにしてはガタイもいいし装備もちゃんとしていた。顔つきもいかにもな
さて、ゴブリンの運ぶ弓持ちをどうするか? もし生きていたら、助けてやれば少しは恩に着るかも知れないし、なにより情報が聞き出せるのではないか。
死んでいるとしても、なにか有用なものを持っている可能性が高い。少なくとも着ている服は
やるならゴブリンが油断しているだろう今がチャンスだ。
俺は超低姿勢から中腰になって残ったゴブリン目がけてスピードを上げる。
俺に気づいたゴブリンが、
弓使いはまだ生きていたようで、投げ落とされた衝撃から気絶から目覚めたようだ。体をわずかに動かしているが、先ほど槍で刺されたところ以外も
俺はいったん立ち止まり、中腰から元の姿勢になり、ゴブリンを睨みつけた。
「グギャギャギャギャー!」
こん棒を振り上げたゴブリンが俺に迫ってくる。
ゴブリンは右手に持ったこん棒を、俺が間合いに入った瞬間に俺の大事な頭、それも顔に向けてたたきつけて来た。
大きく目玉を見開いたのを最後に、ゴブリンの頭は俺の右手のエクスキューショナーの一振りで首から切り離され、勢いよく吹き出る緑色の血に押されて幾分浮き上がったあとで通路の床に鈍い音をたてて転がった。
やっぱりこいつら相当弱いよな。とすると、あの連中は相当の
「
ゴブリンから
さて、そばで転がっている弓使いはどんな
銀色の長い髪が床に広がっている。きゃしゃな体つきの女の子だ。死んではいないようだが、意識はもうろうとしているようだ。槍で刺された足からだけでなく、変な方向に曲がってしまった右腕からも血を流している。
背負いやすそうな体勢にもっていこうと、ぐったりとして半分意識のない弓持ちの女の子を手で支えながら座らせ、自分の背中に乗るよう後ろを向いて俺も座り込み、何とか背負いあげることができた。
いったん床に置いたリフレクターとエクスキューショナーを手にして、女の子を背負って立ち上がった。不自然な体勢だったが特に重くは感じなかった。ずいぶんこの体は力があるみたいだ。
何となく助けた。と言うか、女の子を背負っているのだが、さて、これからどうしたものか?
いったん下の階層におりて、少し遠いが池のあったところにまで行って傷口でも洗ってやれば少しはいいかもしれない。放っておくと傷口が
ここの通路はおそらく
彼女をおぶって1時間ほどかかって、下層への階段にたどり着いた。
左腕は女の子の
ここまでの間ゴブリンなどに
下層への階段を上からのぞき込むと、来た時と同じように何だか黒くかすんで見える。これがいわゆる『
少しずり下がって来た女の子の体をよっこらしょとすり上げようとしたところ、俺の左手の薬指にはめた金の指輪がかすかに光っていることに気がついた。女の子の両腕は俺の胸の方に出して垂らしているのだが、彼女の右手にも金の指輪がはまっていたようで、その指輪が同じようにうすぼんやりと輝いてる。
指輪の輝き始めたのは何か意味があるのだろうが、いまは見当がつかない。拠点の鑑定石まで連れていけば、なにがしかの情報が得られるかもしれないが、前回この左手の指輪の鑑定が
下り階段をゆっくりと下りていく。長いよ。長すぎだよ。この体でなかったら、こんな階段の
階段をしばらく下りていると、俺の指輪と彼女の指輪双方の光が強くなってきた。いまでは周りを照らすほどだ。何なんだ?
目の前でだらりとぶら下がった彼女のけがをしている右腕が、背負った時にはたしか青白く血の気もうせていたはずだが、いまは血が止まった上に、
信じられないような回復力だな。
よく見ると彼女の足も傷跡がふさがりつつあるようだ。どうも俺たちのはめた指輪の
「『闇の眷属』の勘」は言ってみたかっただけの言葉だが、おそらく間違いないだろう。
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