「あぁ、そっか、マコさん大丈夫だったか」


「僕の心配はないのね…」


心配して電話を一樹にかけたが、全然元気だったようで少し安心した。


幸いタンスが倒れたりしたのはマコさんの寮だけだったらしい、観光客にもフレンズにも怪我人は出なかった。

だがパークでの地震は前代未聞だ。

きっと明日のパーク運営は無くなるだろう。



フルルちゃんを元のエリアに帰してきた。

あの今日の怯えた彼女の顔がフラッシュバックする。


「以外と…臆病なんだな…」


ボソリと誰に言うでもなくバスに乗り込む。

明日の事を考えていたら、あっという間に僕の部屋の最寄りまで着いてしまった。


ガチャリとノブを回す。


「ただいま〜」


「おかえり。テメェまさか3Pしてきた訳じゃねえだろうなぁ…」


「そっ、そんな訳ないだろ!てか4人だよ!」


「マジか…4Pじゃん」


「馬鹿野郎」


案の定、一樹はカップ麺を開けて食べていた。

そういえば、金、無くなってきたな。

マコさんみたいに自炊するのも悪くないか。


もう11時か、シャワー浴びて寝よ。



朝の4時にメールが来た。

中身は予想通り、今日の運営を中止すると言うものだった。

だが、今日の仕事が無くなるわけではない。


「うーん…」


眠い目を擦って起き上がる。

起きるのって大変…今のでMPを50000くらい消費したに違いない。

いつもより少し遅く出てもいいから良しとするか。



水辺に到着した。

今日は観光客がいないのでフレンズも一律オフとして、何処にでも出かけていいと言われた。

あんな事があったのに、随分とパークのお偉いさんもガサツだなぁ。


「おはようタクミー」


「おはようございます」


「きょーは何するのー?」


昨日はあんなに怖がっていたのにもうピンピンしている。

フレンズはそんなもんか。

事にこの子だし…


「いや…どこか行きたいところでもある?」


フルルちゃんはスススと僕のそばに来て耳打ちした。


「マコさん連れて海に行こう?もしかしたらー、水着…みれるかもよー?」


ニヤニヤしやがって癪だが…

マコさんの…水着かぁ…


「いやでも流石にそれは用意もしてないし無理があるんじゃないか…?」


「おまたせー!」


ニヒっと笑って見せながらマコさんが立っている。

黒のタンクトップ、かなり軽装だがもしや…

是非を問わず海に連れてかれるスタイルのやつではないですか?

で、横に鼻の下伸ばした一樹がいるのはどういう事じゃボケ。


ぶっちゃけありがた迷惑ではある…

横に無理やりアードウルフちゃんもいるやん…てかホットパンツエロいとか言ってる場合じゃない。


「もしかしてもう用意してた…?(小声)」


「だってーカズキさん水着持ってきてるって言ってたからーフルルも海行きたいー!」


確かに僕も一応水着はもってきているのだが…


結局一樹と一度取りに帰ることになった。


「てーへへ…マコしゃんの水着…みずぎぃ…」


コイツもうそれしか頭にないだろ。


「もしかして、フルルちゃんに誘われた…?」


「あ?うん、そうだけど」


いったい何考えてるんだ…

協力的なのかそうでないのかはっきりしてほしい…



ザザーンと波の音がする。

海はどこまでも青く、地平線の遠い彼方に飛行機が見える。

キャッキャとフレンズとマコさんたちがはしゃいでいる。

で、サチコさんまでいるし。

なんで?なんでなん?


サチコさんがバシャと水をかくと五メートル近く飛沫が上がった…なんて馬鹿力だ…


「カズキ…取り敢えずスマホを下ろせ…」


一樹は2分くらい連写を押し続けている。

海は正直苦手だ…

小さい頃にクラゲに刺されたのがトラウマになっているせいだろうが。


マコさんの大きな果実が揺らめく。

薄いピンク色の水着。

一樹が「ふへえへぇ…」とだらしのない声を出す。

サチコさんの白ビキニは誰得だろうか。


フルルちゃんは白と黒のボーダーのビキニ姿だ。

ペンギンっぽく、泳いだり楽しそうだ。


口に魚を咥えてフルルちゃんが浮上する。

日の光が水滴に反射する様はまるでビスマス。


「2人ともー!泳がないのー?」


「今行きまぁぁぁぁぁぁぁす!!!」


「あっ、待て!」


マコさんに呼ばれて一樹が全力疾走で海に飛び込むのを追いかける。

おい、今瞳孔ハート型だったぞ…眼科行け。


チカチカに照らす太陽。

何だかんだ、ここまで楽しいのは久しぶりだ。


ずっとこの時間が続いても僕は構わない…

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