第8話

ザァーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


雨が降ってる

いつもそうだ

彼と会う時は絶対雨が降ってる


普段なら雨は嫌いだ

でも、雨に感謝することが何度かあった


今だって


好きな人と肩を並べて相合い傘できてるし



私の名前はミヅキ


幼なじみのユウ君と歩いてる


「好き」に気付くのはずいぶん遅かった


幼稚園から仲が良かったからだ

相合い傘も普通に出来た


中2の夏休みにユウ君が引っ越した

その時にようやく気付いた


中3になっても忘れられず

高校に入っても忘れられなかった



「夏休み、会えないかな?」


「会えるよ」


「何日?」 「8月25日」


「…会いに行く」


メールでこんなやりとりをしたから、余計忘れられない


[8月25日]

ザァーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


雨が降ってる

いつもそうだ

彼と会う時は絶対雨が降ってる


電車で来るらしいから駅集合だけど、

来るのかな


止まないでよ 雨


「ごめーん! 待った?」


「待った 来ないかと思った」


「ごめん

 雨で電車遅れてて」


「知ってる

 それとさ、傘は?」


「…忘れた 入れて?」


折り畳み傘がカバンに入ってんのかな?

新しいユウ君の家から駅って5分ぐらい歩くって言ってたのに服が濡れてない

それに雨が降り続けてるのに傘を持ってこないはずがない


でも、

「…いいよ 入って」


「ありがとう」


今日は許そうかな

雨にも感謝しなきゃ


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