第3話
今日は散々だった。 最悪の事態は避けられたが住人には変態扱いされるし部屋は狭いしで。 とっとと荷物を片付けてスッキリさせよう……
邪念を捨てて俺は作業に集中する、ここは俺だけの場所、俺だけのスペース、JKだろうがなんだろうが誰にも邪魔される事のない俺だけの新しい城だ。
城がこんなに狭いと悲しくなるけどな。 元々荷物は多くはなかったので2時間もすれば大体の物は配置についた。
狭いは狭いけどようやくいい感じになってきたな。 テレビとベッド、エアコンが付いているのは良心的だ。 真ん中に小さいテーブルを置いて完了だ。
段ボールを畳み時間を確認すると17時40分、少し早いけど飯でも食うかと思うと隣の部屋からドスン! と大きな音が聞こえた。
確か…… 俺の隣の部屋はあの気怠そうにしていた女の子だったな。 向いがあのお風呂場の女の子でその隣がギャルっぽい派手な女の子だった。
まぁそんな事を確認したって特に意味はないだろうけど俺は部屋のドアをそっと開けた。
今度は大丈夫だな? また何かマズい場面に遭遇しないか警戒した。 もうあれはトラウマだ。
飯にすると言ってもあんな事が起こったばかりでここで食事なんか出来るはずもない。 俺はそっと廊下から玄関に出た。
どこかコンビニでも行って弁当でも買って食おうと思ったけど部屋に車のキーを忘れたので取りに行ってまた玄関に出るとさっきの気怠そうな女の子が玄関からボーッと外を眺めていた。
そして出てきた俺に気付いて視線をこっちに向けた。
「あ…… 変態」
「だから違うって」
「責任感じて出てく?」
「責任も何もあれは事故だ、どうしようもなかった。 …… って言ってもややこしくなるだけだからもうやめてくれ。 俺は飯を食いに行くだけだ」
「ここ、食べれる」
「あん?」
「だからここ食べ§⌘∮ゞ……」
「え? え?」
「あたし2度言うの嫌い」
なんだかこの子喋るのさえ気怠そうだ、言葉に抑揚がない。 外見にも面倒くさがり屋が現れているような気がする。 ワンピース風のパーカー1枚。 簡単に済ませられそうな服だ、そして彼女のやる気なそうな顔と言ったら。
だけどサラッと伸びた髪の毛と半開きで眠たそうな目をしているが顔自体はとても綺麗で整った顔をしている。
「ジロジロ見ないで。 変態」
「悪かったな、それと変態はやめろ、俺は柳瀬清人って名前があるんだ、それに歳もお前達より上だ」
「ロリコンで覗き魔……」
「酷くするのやめろ」
「清人…… ふぅん、清人ねぇ」
「呼び捨てかよ。 お前の名前は?」
「上から目線嫌い。 …… あたしは日向 麻里(ひむかい まり)」
「日向か…… よろしくな」
「よろ……」
なんか知らんけど自己紹介も終わったようなので俺は車に向かおうとした、すると……
「待って」
「なんだよ?」
「車あるんだ?」
「あるけど?」
「乗せてって?」
「は!?」
この野郎、散々人を変態だのロリコンだのと罵ったくせにその本人に乗せてってだと? 乗せたら乗せたでまた「やっぱりロリコンなんだね?」とか言うんじゃないだろうな?
「なんで?」
「あたしもコンビニ行きたかった、でも歩くのめんどい」
「そんな事かよ、いいから歩いて行けよ。 俺はまたなんか疑われるのとかは懲り懲りだから」
「むぅ…… よ、よろしくです。 清人」
急に態度が少し改まりペコリと俺に頭を下げた。 そこまで歩くのめんどいのかよ……
「…… わかったよ。 その代わり変な事するなよ?」
「こっちの台詞」
「今何か?」
「なんでもありま∮ゞ∬$……」
そして仕方なく日向を乗せてコンビニへ向かう。 俺の車によく知らないJKを乗せる事になるとは……
隣に座る日向を見ると携帯を弄っていた。
「ここら辺で近いコンビニは?」
「そこ曲がって次は左行って真っ直ぐ……」
「いや、曲がる前に全部言われてもよくわからん」
「…… じゃあその時に言う」
日向はせっかく説明したのにという感じで少しムスッとした感じになった。 どこまで面倒くさがり屋なんだよ……
「そこ…… 」
「え!?」
突然言われたので急ブレーキを踏むがもう通り過ぎてしまった…… 直前過ぎだろ!!
「うわっぷ…… 清人の運転荒い」
「お前のせいだろ! もうちょっとこう…… 少し手前で言ってくれよ」
「ワガママ」
どっちがだよ!!
なんとかコンビニに着いた。 こいつのせいで余計な道草くったわ。
「あ……」
「ん? なんだ?」
携帯を見ていた日向がボソリと声をあげる。
「彩と莉亜がついでに何か買ってきてだって」
「彩と莉亜?」
「派手な子が彩…… 彩奈(あやな)ね。 そんで清人がお風呂覗いた子が莉亜(りあ)。 困ったな」
「覗いてねぇよ、なら買えばいいだろ? 何困るんだよ?」
「そんなお金持ってきてない」
そして日向は俺をジッと見た。 出せばいいんだろ出せば……
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