あつまれ、私の森

清涼な空気

目に優しい緑のみずみずしさ

滴る汗は歩いてきた証

高鳴る鼓動は独りの興奮

煙草一つもないが、この空気が煙草である

目に優しい緑は世間を忘れさせ

この汗は努力からくるものだ

独りになって希望も不安背中合わせ

ここはどこだ

天国か

ここはどこだ

地獄か

夢見た場所でウロチョロうろちょろ

紫煙は空に召さられた

私は肉が重くて浮かぬので

煙草が羨ましくなってしまった

地面に落ちる灰は

年月が経ちも、それだけのこと

肉と骨と臓器と意識

木々の間から光が溢れる

美しい

あと一歩で美しい空間に行けるという

しかし汗は垂れ、鼓動は痛い

空気は喉に刺さり、清涼さは毒であった

土に還るというけれど

多分、そんなことはないだろう

誰かが見つけて、ここから連れ出す

ここを汚すなと、またかと、無に

持って帰られる

葬儀なんぞしても誰もいない

手紙を残しても連れ去られる

ひどい酷いと嘆いても知っている自分は目を瞑る

疲れたのだ。疲れがとれたら来た道を戻るだろう

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