爽やか珊瑚の白ペンキ

海がありましたとさ

海は太陽のおかげで

蒼くなっておりました

その中に珊瑚という生き物がありました

潜り、刈り取り、海から陸に上がると

それは宝石を鈍くしてくっつけたような

色鮮やかな、新鮮で、生娘のような

汚れをしらぬ色でした

削り、まるみ、研磨をすれば

くるりと光沢をもった色になり

人々が宝石と同じように扱いましたとさ

そうすると金儲けですし

人々は一斉に飛び込み

珊瑚が沢山とれました

余るぐらいにとれたので

余ったのは食べたり飾ったり汚したり

えらいエライ人は贅沢をしました

そのうち珊瑚は人間の脂が海に流れたせいで

色を失い、白くなっていきました

まるで老人のようで

子供も産めなくなるまで白くなり

保全団体ができても、どこかで白くない珊瑚を見つけた人が刈り取り自分のものにして

珊瑚は、どんどん老けていきました

気が滅入ると、まさしく絶滅しそうになり

世の中が助けろ助けろと騒ぎ始めます

しかし、もう白くなった珊瑚は生き返りません

人間の欲にまみれた珊瑚は二度と光りませんでした

おしまい

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