25日目 2+2=5
彼曰く、この世界は結局自分の思う通りにした方がいいっていう話。
***
『1984年』
世界大戦期に生きたイギリスの有名作家。
ジョージ・オーウェルのディストピア小説。
世界は三つに分けられて、それぞれの支配地域で生きる人物を描いた小説らしい。
読んだことはない。
この前たまたま本屋に行ったときに特集の棚に置いてあったのを見た。
ジョージ・オーウェル。
彼の名前を最初に耳にしたのはいつだったかしら。
高校の世界史で聞いたっけ、受験の時に暗記した記憶があるなぁ。
自由資本主義だか社会主義だか、ファシズムだとかナチズムだとか。
世界が混沌と化した時期に活躍した人だったと記憶してる。
想像でしかないけどどんな話が書いてあるのか、
”ディストピア”小説という紹介文なら何となく想像できそう。
過去の偉人の作品を想像だけで語るのは自分でもどうかと思う。
履歴書だけ見て「この新人はこういうキャラだろう」と予想するのと同じ。
もうすぐ出会いと別れの季節、新しい人たちがやってくる。
ディストピアというと、戦争とか非行とか暴力、略奪、
あらゆる良くないことが描かれていそうなイメージ。
このジャンルにもいろんな作品があるだろうけれど、
ピンキリだよね、きっといろんな差があると思う。
人間を飼育し捕食する強者がいて、一部の特権階級だけが得をしている世界。
異形の獣が闊歩し、人間は肩身を狭くして細々と生きるしかない荒廃した世界。
逆に偉業を狩って生きるたくましい人たちと黒幕との泥沼な戦いしかない世界。
空気のような扱いを受けて、教室での存在感がほとんどない世界。
人間は普通の生活でも、その多くが機械やシステムによって統治された管理社会。
描き方は様々だけど、ガチシリアスからちょっとおとぼけポップなタッチまで、
人の想像の幅だけ創造されたディストピアがたくさんある。
右を左と言う世界もあれば、「はい」が「いいえ」になる世界もあるんでしょう。
ディストピアというよりは鏡の世界かな・・・。
『1984年』にある超大国の1つ、オセアニアに住む主人公スミスは、
寡頭政となっている現体制に疑問を持つ。
その体制というのがこの小説の肝になっている要素なのだが、
そこには人倫、道徳、自由と名のつく私生活も何もない。
すべての国が”党”という存在によって統治され、
国民はすべてを管理された完全な独裁政治、社会主義体制。
党が求める能力、思想、行動がなされないとすべてを否定され、
”非存在”と扱われる。
現在はおろか、過去にも未来にもいなかったことにされてしまう。
あらゆるものが党の言う通りなディストピア中のディストピア。
パノプティコンもかくや、いやそれ以上にキツイでしょうな。
思想は捻じ曲げられ、行動は強制され、
党の思想教育の下に自由意志という名の服従が成立している。
いろいろあったが、最終的には党の思想をすべてと信じ、
”心から”党を愛するようになるのが話の大筋とはwiki談。
ディストピアは暗い未来しか見えないが、
逆に言えばそのような世界観を否定することが、
暗い未来を避ける予感につながるのではないか、と思わなくもない。
誰かの言いなりにしかならない生活なんて何も面白くない。
”2+2=5になりうるなら、3にも、4にもなりうる”なんていう、
現実と乖離した認識を決めつけられるのは自己の存在を必要としない。
発想は自由でも、現実から逸脱した上に矛盾した状態を認めるのは、
なんとも滑稽な状態。
それが自分の”心から”の思考であればいいけれど、
自分がない思考ならそれこそディストピア。
スミスが言うように「自由とは、2+2=4といえる自由」、
つまり自分の認識した世界を認識したとおりに言うことができること。
疑問を疑問と、発見を発見と言える世界はとても生きやすそう。
自分の意志が尊重される世界、そんな世界でありたい。
個人的に、”2+2”の答えは”田んぼの田”だけで十分。
冗談でそう思う自由も、あっていいよね?
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