22日目 ミス

彼曰く、まあそんなこともあるさ。


ミスりました。

ミスをしました。

ミスを犯しました。


久しぶりに心が荒れてます。

どれくらい荒れているかと言うと、

「ゴビ砂漠」と聞いて「どうせゴミ砂漠だよ」と、

意味の分からない自己罵倒を始めるくらいに情緒不安定になりました。

ゴミはちゃんと持ち帰りましょうね。


ちなみにゴビ砂漠の”ゴビ”、

モンゴル語で「砂漠」という意味で、

日本語的には畳語表記じょうごひょうきと言うのだそうです。

「頭痛が痛い」みたいなことですね。

そんな言葉を中高生の頃は恥ずかしげもなく使っていたのですから、

ミスに対しての耐性が私の中になかったのかもしれません。


ミスを犯すことは誰にでもあることです。

それは人間だけでなく、

あらゆる動物が経験することでしょう。

機械が間違えるということはあまりありません。

機械を作っているのは人間ですし、

動かすのもたいていは人間です。

それら無機物が何か想定と異なる行動、

異なる製造物を生み出したとしても、

AIが異なる結論を導き出したとしても、

それらの工程をプログラミング、

つまりレールを引いたのは人間ですし、

結局は人間が何かのミスをしたことによる結果なのです。


困ったことにミスはミスを呼ぶという、

俄かには信じたくないようなジンクスがあります。

Aさんが犯したミスによって、

協力してくれていたBさんが、

同じミスをしたまま、

その作業を進めてしまっていたりするのです。


A「ごめんこれ、お願できる?ここをこうすればできるから!」

B「わかった、お安い御用だよ」

~1時間後~

A「やった、できた!助かったよ~」

B「よかったね、間に合って良かった」

A「ありがとう!マジで助かった!」

C「お、Aできたか」

A「はい、確認お願いします」

C「どれ・・・、あれ?これ全部加算されてるけど、途中で乗算しないとダメだぞ」

A、B「・・・え?」


おそらく経理的な、何かを計算することがある部署に勤めていて、

発注や何かに必要な資材、金額などを計算していたのでしょう。

加算と乗算。

+と×。

プラスとカケル。

これを間違えるととんでもないミスになります。

2と2まではいいですけれど、

10と10なんて天と地の差ですからね。

テストの点数で10点が威張れるのは10点満点のテストだけです。

もしテストの点がミスで100点と計算されていたら、

テストの順位にも影響してきます。


「やった!100点だ!しかも全部!」

「すごーい、尊敬するよー!」

「ふふふー」

「あーすまん、今回のテストで配点ミス、採点ミスがあったから回収ー」


「え、10点になってるんだけど」

「・・・」

「え、しかも順位100番落ちたんだけど」

「・・・」

「穴があったら入りたい・・・」


赤点必至、恥ずかしさ倍増で埋まりたくなります。

このように1つのミスが他の結果や結論に影響することもあるのです。

社会に出るとこれに気付くのが遅れてしまえば、

恥だけではすみません。

ミスによって発注量、金額を間違え、

勤め先にも取引先にも多大な損害を与えかねませんし、

もしそれが不履行事由であれば、

なんとかそれをカバーする妙案を捻り出さなければなりません。

何とも面倒な話ですが、

その結果に至る道を歩んだのは、

紛うことなく私自身。

私が敷いた修羅の道。

修羅道を極めるつもりはなくても、

いつの間にか茨の道に乗り換えていることがあったりするものです。


こういうことを防ぐにはどうすればいいのでしょうか。

ミスをするたびに自分を責めるのが、

人間の自己責任能力の担保であり、良いところですが、

過去の経験から学びを得ないことはあまり良いこととはいえません。

しかしながら人間はこのループを繰り返してしまう。

自分だけではこの負のループを抜け出すことが難しいのです。

ですからこういう場合は、

思い切って第三者の力を借りましょう。

恥ずかしげもなく、惜しげもなく、それが当然とでも言うように。

自己管理できないの?その年にもなって!

と言われてしまうことに対する恥ずかしさくらいは持ってほしいですが、

自己嫌悪と自己否定ばかりしていても何の解決にもありません。

大切なのはそうした人間性にどう向き合っていくか。

自分なりに対処をしよう、

誰かに力を借りよう、指摘してもらおう、

作業に取り組む前と後でしっかりと確認を取ろう、など、

考えられる対策、実行できる手段はたくさんあるはずです。

社会で成長できる、期待される人間になるには、

こうした思考を実現できるかどうかが大切だと思います。

精神的にも、その人がどういう人間性を持っているか、

そこで測ることができると、1人の上司が言っていました。


今回の私のミス。

このまま後工程に流すと面倒になることでしたが、

運よく後工程担当の方が事前確認をしてくれたおかげで、

面倒さが半分くらいは減らされたような気がします。

それでもそれはまだ可能性の範疇。

面倒かもしれない未来は待っているわけです。

それに対して、ミスを犯した自分が嫌になって、

少しだけ荒み、スマホをイジイジしていました。

ほんの10分くらい。

そのあとはもう普通に作業に戻りました。

あとのことは、どうなるかが分かってから動こう。

今のうちに考えるだけ考えておいて、行動はそれから。

今できることは心を静めることですから。

想定外のことが起きたとき、どう対処できるかが試されるこの世界。

リセットボタンがあれば押したいですが、

そういうわけにもいかないので、

大人しく事の次第を見守って、対処しようと思います。

とりあえず心を落ち着けようとぐしゃぐしゃにつぶしたなんでもない紙を、

さらに小さくしてごみ箱にちゃんと捨てて、

今日のところは帰るとします。

また来週、連休明けで最高潮の私が何とかしてくれると信じてます。

よろしく、明日の私。

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