第3話

「さあ、そろそろ時間ですね」


「帰るのか?」


「はい!よくわからないですが無事解決したので!」


1から説明したが未だに完全に理解は出来ずなんとなく自分のおかげと都合のいいとこだけ理解し満足気にアイデアは軽く休んで帰り支度をしていた。



「そうだった!でもあと1つやることをやらないといけないんです。」


「やること?」


「はい!それはあなたの記憶の消去です!」


あーそうだ。そんなこと言ってたな


「記憶の消去はかなり簡単です!脳に刺激を送って記憶の消去をするだけです」


ふぅーん。ん?脳に刺激?


「それでは使えそうなヤツ探してきます!」


使えそうなヤツ?


そう言うと女は解体作業に使った道具入れを漁り始めた。


なんだろう、今日1番イヤな予感がする。


そして「あったあった」と道具入れから一際痛そうなトンカチを取り出していた。。。


「何持ってんのお前、、、?」


「お家にあったトンカチです」


「え、まさか記憶の消去って、、、」


「はい!これでコツンです」


いやいやいやいやいや


「バカだろ⁉︎死ぬわ!」


「大丈夫です!タンコブだってちゃんと目が覚めた時にはなくなってます、何もお気にせずに」


そう言い気づくとトンカチが光り始めていた。

そして笑顔で近付いてくる。


嘘だろ、、ダメだ

やめろ、、やめろ!!それ記憶以外も飛んじゃ



-ガツン-


俺は意識を失った。







さぁどうしたものか、、、


そんな自分の気持ちを反映するかのように外はうるさいくらいの雷雨。


あぁうるさい、こうもうるさいと集中も出来ないし一眠りするか、アイディアは寝る前に降ってくるって何かで読んだ気がするし


俺は書きなぐったノートを閉じソファーで横になり目を閉じ


ようとした瞬間



閃いた、、、


やはり担当と相談しよう。人と話しながらなら何かが変わるかも知れないし。


そう俺は突然閃いた。



そんな



そんなわけあるかぁぁぁぁあ!



俺はあの出来事をバッチリ覚えている。


じつはあの時、トンカチでぶっ叩いて記憶を飛ばそうとしたらしい、が。さすが新人、記憶なんて飛んでいなかった。


いや、もう本当


ぶっちゃけただただ痛かったわ。


本気で殴られうずくまる俺を見て意識を飛ばしたと安心したヤツは模様替えをだいたい直してずいぶん達成感のある顔で帰っていった。

そして帰って直ぐに俺はヤツが普通じゃなかったことを再確認した。辺りを光が包んだと思ったら時計が動き出し先程の雷雨がまた始まったのだった。


ずいぶん不思議な体験をした。


夢だったのか、、、


いや、このタンコブと不自然な部屋の配置、そして名刺も。本当にさっきまでいたんだな。


。。。


これを話しに書いたほうが面白いんじゃないか?



そんなことを思ったがまずは最初の問題を解決しなければと、俺は担当にリダイヤルした。


翌日


雨も上がり近くの喫茶店で俺は担当と打ち合わせをしていた。やはり打ち合わせしたからってすぐにアイデアなんか出るはずはなかったが話し続けていると担当の読者目線で話しを聞いたりすることが出来てそこから新たな発見があった、そしてそこからなんとか来月までの話しのつなぎ方はまとまった。



「先生昨日はアイデアが全然ないって言ったのにどうしたんですか⁉︎すごい出まくってるじゃないですか⁉︎」


担当はかなり不思議そうに俺に尋ねてくる。今までろくに打ち合わせしなかった俺が打ち合わせしようとしたりしたことも不思議なようだ。


昨日の出来事を話したら驚くかな?


いや、昨日の出来事は俺の中で留めておくか。



俺はタンコブを撫でながらマヌケそうな顔をしてる担当にドヤ顔で言ってやった。



「アイデアが降ってきたからな」

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