アイデアが降ってきた
46sagi
第1話
-プルプルプルプル-
さっきから30分おきに担当から電話がくる。
留守電に入ってる言葉は
[とりあえず打ち合わせをしましょう]
ふぅー。。。
とりあえず?とりあえずってなんだ?
そもそも大学卒業しただけで専門的な知識もない歳なんて5も下のヤツが担当ってだけでも納得いかないのに、そんなヤツと打ち合わせして何が生まれるって言うんだ?
そうイライラしながら俺は次鳴ったら携帯をぶん投げようと思い5本目のタバコを吸った。
小説家、、、幼い頃からずっと本を読んできていつしか自分にもなれるんじゃないかと思い筆をとり、出版社に出し賞を貰い晴れて小説家となった。この調子でトントン拍子で有名作家へ、、、、
なんて行くはずはなかった。
まさかの2作目でアイデアが底をつくなんて思わなかった、恋愛物で難攻不落な高嶺の華を落そうとする学園カースト下位の男の子という話し。出来ることならこのありきたりのストーリーで類を見ないくらいの難易度にしようと意気込んだのはいいが、ハードルを上げ過ぎた。
どうやったってくっ付きそうにない、、、
さぁどうしたものか、、、
そんな自分の気持ちを反映するかのように外はうるさいくらいの雷雨。
あぁうるさい、こうもうるさいと集中も出来ないし一眠りするか、アイディアは寝る前に降ってくるって何かで読んだ気がするし
そう思い立ち俺は書きなぐったノートを閉じソファーで横になり目を閉じ
ようとした瞬間
-ドゴーン!!!-
⁉︎
なんだ⁉︎雷が落ちたのか⁉︎
今まで耳にしたことのないとんでもない音がした!急いで部屋を確認するが部屋が停電していないので電線はやられてないらしい、そんな確認をしていると
ピンポーン
呼び鈴が静寂な空間に響いた。
なんだこんな夜中に?
まさか担当?さすがにそれは、、いやヤツならそんな非常識なことをやりかねない、、シカトするか、、、
ピンポーン
、、、、
ピンポピンポーン
、、、、なんなんだ一体?
どこまで非常識なんだ⁉︎
シカトしようとしたがこうもうるさくされたらたまらない、一発ぶん殴って追い返そう。
俺は右手に拳を作り扉を開ける
すると
そこには担当ではなく
黒いローブに身を包んだ女が立っていた
、、、だれ?
な、なんだこいつは?
背は160ないかくらいの小柄で年は俺より若そうな感じで顔は、うん、まぁそれなりだ。
そんなことを考えつつ俺はバツの悪くなった右手のやり場に困りながら停止していると女は笑顔で口を開いた
「はじめまして!私アイデアです!」
俺は無言で扉を閉めた。
ヤバい、、、ヤバいヤツだ完全にコレ。ならまだ担当の方が良かった、警察か?警察呼ぶか?
-ドンドン-
「開けてくださーい!私アイデアですー!」
-ドンドン-
「大丈夫ですー!怪しいものではありませーん!アイデアですから!」
怪しすぎるわ!!
なにアイデアって?そういう団体?
うわ、ニュース見ておけば良かった!絶対アイデアって団体の話ししてたわー
ハァー、、、警察に頼ろう
俺は携帯を取り出し110にダイヤルを押そうとした、するとすぐ後ろから
「け、警察はやめてください!あとで凄く怒られちゃうです!」
そんな声が、、すぐ後ろから?
恐る恐る振り返ると
女が部屋に入っていた。
「う、う、うわぁー!!!」
なんだなんだなんだなんだ⁉︎
まさかゆうれ、、、
「安心してください!幽霊じゃないです!ピッキングです!」
「尚更怖いわ‼︎」
誇らしげハリガネを見せる女に俺は今日1番声を上げた。
「ピッキング?何を誇らしげに言ってるんだ立派な犯罪だぞそれは!」
「ちょっと落ち着いてください!怪しい者じゃないんです」
「ピッキングしといてなに言ってんだ!」
「えっとこれは、その、アイデアです!」
「、、、、ハァ?」
「だから、アイデアの力でピッキングの仕方を閃いて開けたんです!」
「、、、アイデア?アイデアってあの?閃くヤツ?」
「そうです!そのアイデア!」
「え、あんた何者なの?」
「だから最初から言ってるじゃないですか!私はアイデアなんです!」
、、、ハァ?
それから女は俺に[アイアム・アイデア]と書かれた手書きの名刺を渡し1から話してくれた。
どうやらこの女はアイデアその者らしく(新人)アイデアを求めた俺の前に降ってきたらしい
降ってきた?
「まさかあの何かが落ちた音って?」
「はい!私が降ってきた音です!」
「つうか降ってきたってアレ物理的な意味だったの⁉︎」
「それ以外何があるんですか?」
ダメだこの話しはラチがあかない。
「改めまして、私アイデア1年目のアイ・デアと申します!この度はあなたの必死な求めに反応しやってきました!」
「は、はぁアイデア?」
「そうです!みなさんがよく口にするアイデア、アレそのものです!まだ1年目ですけど、、アイデア20年とかの人ならすごいですよ!ダイナマイトとか作っちゃったり!」
確かに普通の人間っぽくはないがアイデアが擬人化ってあまりにも
「胡散臭過ぎる、てかアイデアって言われたって、ピッキングだけでお前をアイデアって認めるわけねぇだろ、なんか他にも証拠を見せてくれないと」
「なるほど、それもそうですな。なら今からこの無駄にデカイだけで中身がスカスカな冷蔵庫に入ってる物で美味しい物を作りますか?それともここにある調理器具とそこにあるDIY用の工具を使って自殺に見せかけた完全密室殺人をすることも可能ですよ!」
「いや普通に最初ので良いわ!」
「でもそれだと料理の出来る泥棒かも知れませんよ?」
「ピッキングの出来る殺人鬼よりましだろ!」
「うーむ、たしかに!」
女は納得すると冷蔵庫を開け何やらモゾモゾ言っている、そして俺はモゾモゾ言うのをやめた女が普通の人間でない事を確信した。
なぜなら言うのをやめた女は突如発光し始めたのだ。
そして光りを発しながら女は手際よく料理を完成させた。
「さぁ、出来ましたよ」
おいおいこれが本当にウチの冷蔵庫にあった者だけで作ったのか?
なんだこの立派なハンバーグは?なんだこの立派なスープは⁉︎そして味は見た目通り
「美味い、、、」
「どうです!?これで信じてくれましたか!?」
美味い、しかしこれだけで信じるのもなんか気が進まないが、普通の人間じゃないことは確かだ、、、本物なら俺のピンチを抜け出せる。
「よし、とりあえずあんたを本物だって認める!だから教えてくれどうすればいい⁉︎」
「それはですねー」
「それは⁉︎」
「模様替えです!」
ハァ?
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