第7話男の子は挑戦してタフになる
「なるほどな」
それで僕たちは車道に出会す。昔、こんなものはなかった。
「車道だね」
「そうね」
と言っても車は今はそんなに行き来していない。遥か遠くに一台の車が見えるだけだ。僕たちはその車道を渡り始める。
「昔はこんなのなかったよなぁ」
「そうよね。いつごろからできたんだろう?たかくん知ってる?」
俺は首を横に振る。
「俺は全然知らなかったよ」
「私も」
そして、二人そのままそこを通り過ぎた。
それで行った先に工場跡と十字路に出会す。
「ああ、ここの工場跡変わってないな」
「そうだね」
「でも、鉄筋コンクリートとか片付いているか」
「うん」
その工場跡は更地になっていた。
「覚えているか?ここの工場跡にまだ設備が残っていた頃、先生たちから危ないから遊んではいけませんと言われた頃」
そういうとまいちゃんはクスクス笑った。
「覚えてるよー」
それでまた遠い目をしていう。
「でも数人の男子は遊んだよね?」
「そうそう学校で怒られえていたっけ。今考えると別に遊んであげてもよかったんじゃないかと思うけどな。ほら、子供に限らず人間好奇心がなくなったらおしまいだろ?その一番強い子供時代にあれをやるな、ここは危険だから遊ぶな、というのは、ちょっと酷すぎる気がする。
せっかく都会じゃなくて田舎なんだからさ、もうちょっと子供たちの自由にしてあげてもいいと思うな。どう思う?」
僕の言葉にまいちゃんは考えるような仕草をとった。
「うーん。言っていることもわかるけど。やっぱり母親になったら子供には危険なことをして欲しくないな。正直言って」
「そうだな」
それに俺はうなずいた。
「俺は正直言って自分でもいうのはなんだがタフな性格だと思う」
「うん」
「昔は大人しくて臆病だったけど、いろんな人に支えられてタフになった。もちろん、自分で乗り越えた面もあるけど」
「うん」
「正直言って、俺のような大人しい性格の人がタフになるには特別な条件。例えばいじめられていたとか、よく人に馬鹿にされながらも乗り切った、特別な体験が必要になる。例えば、俺らの子供時代はまだ、オタク文化が馬鹿にされていただろ?」
「そうだね」
「俺小学生の頃からゲームをやっていたけど、正直言ってよく母親から叱られた。まあ、それでおかんを今は憎んでいないが、やっぱり、何か乗り切るという経験が特に男の子には必要だ」
「うんうん」
「だから、経験上男の子には外遊びさせたほうがいい。なあ、覚えているか俺と兄貴がトンボを捕まえたこと」
それにまいちゃんは嫌な顔をした。
「ああ、あれね」
「捕まえたトンボの羽を一枚ずつ毟り(むしり)取っていたこと」
「あれ、ほんと酷かったよね。あの時は男子はどうしてそんな酷いことをするんだろう?と思ったよ」
「でも、今思うとああいう体験は子供時代必要なんじゃないのかな?つまり、捕らえた虫を好き放題にして、周りから叱られる体験が必要だと思う」
「うんうん」
「やっぱりさ、言葉だけで子供に何か教えるのは限界があるよ。子供のうちはさ、いろんなことに挑戦して、色々と経験しながら成長するのが一番だと思うな」
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