友達の優しさ
side美葉菜
「おはよう。」
浩ちゃんがニコニコといつもの挨拶をする。
あからさまに私を気遣うこともせず、
普段通りに接してくれている
浩ちゃんの優しさに
心の中でありがとうと言いながら
席についた。
「美葉菜〜」千晶が駆け寄ってくる。
大地も山下達と話しながら
ちらちらとこっちを見てくる。
大地に笑いかけると
安心したような顔をして話に戻った。
あ、そうだ。
「ねーねー千晶ー」
千晶を連れて廊下の向こうの
倉庫の前まで移動する。
周りに誰も居ない事を確認すると
「大地の好きな人って私?」
「うん、大地、美葉菜のこと
中学の時から好きだよ。」
「他の人とか知ってんの?」
「私と浩輝だけ」
いつメン、私以外知ってるじゃん。
「ごめん。」
「いいよ」
「いい人だよ。」
千晶の声が急に真剣になる。
「えっ?」
「いい人だよ。確かにEで頭良くないし、
バスケ部のエース自称するほど自信家だし、すぐ調子に乗るけど、
いい人なの!
だから大地のこと真剣に考えてみて…」
最後の方はとても小さい声だったけど、
千晶の目はマジだった。
「うん…」
思わず返事をすると、
「でも美葉菜が桜沢くんのこと好きなのは
知ってるから、
無理しなくてもいいからね。」
ニコッとする千晶に
「どうしたらいいと思う?」って聞いたら
「どっちでもいい。
美葉菜が決めることだから。
でも振るとしたら傷つかないように振って。振られても友達として付き合えるように。」
分かった。
千晶ありがとう。
私もみんなとこれから
ずっとみんなと友達でいたいな。
放課後、教科書を鞄に詰めていると
「福原」
と肩に手を置かれた。
「大地…」
大地は「今から、俺に時間ちょうだい。」
体育館の裏側に連れてこられた。
「何?」
「あのさ、あのキスのこと俺、
後悔してないから。
千晶から聞いてるかもしれないけど、
俺中学の頃から福原のことが好きだ。
今福原、桜沢と一緒に住んでるだろ。
その噂を聞くたびに
俺の方が福原のことを笑顔に、
幸せにできると思う。」
大地の瞳がしっかりと私を見る。
「だから好きです。俺と付き合って。」
「何してんの。」
突然、蓮斗くんの声がして見ると、
いつのまにかいたのか
近くの木の上に蓮斗くんがいた。
「蓮斗くんどこから…」
「木の上で寝てた。
それよりキスってどういうこと?
みっちゃん?みっちゃんとキスしたの?」
最後の質問は大地にむけたものだった。
大地は不適に笑って、
「桜沢の弟だろ。
よく似てる。
兄にいてイケメンだな。
でも、俺と福原がキスしたのかは
君に関係ないんじゃないか?」
「はっ💢ふざけんな!みっちゃん帰るぞ」
蓮斗くんが私の腕を引っ張って
スタスタ歩き出した。
行く時と違ってお互い無言のまま歩く。
家の近くまで来た時、
「で、アイツとキスしたって本当なの?」「うん…」「いつ?」
「この前怪我した時に、
保健室で好きだって言われた後。」
「ちなみに他の人とキスしたことあるの?」
「大地のがファーストキス。」
それっきり無言が続いて
めっちゃ気まずかったけど
家に着いてから私は予習。
蓮斗くんは自分の部屋に
行ってしまったので、
しばらく何も起きなかったし、
それ以上追及されなくてホッとしていた。
課題が終わってリビングで
進斗くんの宿題を見てあげていると、
「ただいまー」
桜沢くんが帰ってきた。
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