第2話 福音を聞いたあの日を僕は忘れない…
ある日、まず 誰かが ふと思った。
「せかいがやばい」
その後、その曖昧な不安が世界を覆う…
全ての人が、動物が、草や木々が、地球が、少しの不安を覚えた…
その日、世界が
僕は…その日、その時、その場所で世界で唯一の存在になった。
「あ、今日…僕…30才になったんだ…」
そう呟くと、どこからか誰かの声が聞こえてくる。僕は、この声を福音と呼んだ。
その声を聞いていると…目の前がぼやける。
だから、僕は外に出た。
世界の喧騒を聞くために…
この誰かの声が、誰の声なのかを確かめるために…
外にでると、今までとは 世界が違っていた。いや、違って見えた。
見えていなかったものが見えてきたのだ。
道にはアスファルトを突き破り草が生え、街頭は植えられた木々で盛り上がり、歩行を困難にしてくる。
「こんなにも世界は変わってしまったのか…」
信号機も電球で光っていない、今では赤黄青の色に 色づき 続けているだけだ。
そして、全ての人や植物や建物が大きくなっている。話している言葉も違う…
聞きなれない言葉だから、理解したくない…
だけど、僕はこの聞こえてくる声を確認しなくてはならない…
僕が魔法使いになって初めてやることだからだ!
諦めたくない、挫けたくない!
そう思って、一度 目を
「あれ?玄関だ…」
僕は、玄関にいた。歩いたはず!歩こうと思ったはず!なのになぜ!僕は玄関にいるんだ!と、そう思った。
「一度、部屋に戻ろう…」
僕は、部屋に戻って考えた。
「僕以外の全てが、変わってしまっている…」
僕は、大学で確率について研究していた。そして、この世の中は 全て確率で成り立っていると知った。マクロの視点における宇宙も不確定要素や存在を確率で表現できた。ミクロの視点においても量子力学の公式は全て、確率論だった。
つまり、この世は確率の世界なのだ!そして、その確率に「ゼロ」は存在しないようで、存在している!その確率が「ゼロ」であることを確率論では「
全ては、二点の観測によって成り立っている。一点のみの観測は、確率論上ありえないのだ。
そして、量子力学では、観測した場合と 観測せずに結果を見た場合に 全くもって違う結果が出てくる。
僕は、大学での研究の成果として この世の真理にたどり着いた。
研究の成果… 誰かが、世界の確率を解明した瞬間に…
その世界は、観測されたことになり、今の世界が失くなり…
全く違う世界が広がってしまう…
僕は部屋でつぶやいていた。
「世界は、その
…………………
…………………
福音が聞こえる………
……「きゅいんきゅいん!」………
…………………?
「あ、オレ、昨日負けたんだ…」
第2話
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