第138話 始まりの女の件
「────え?どういう事!?二人のこれまでの話題の中にお互いの家に伝わるお話とかで共通することとか有ったでしょう!?そう!伝説とか、しきたりとか色々共通項目あったでしょ!?」
なんかよくわからんけど、黒装束の女の思った様には色々話が進まないようだな。
────銃剣を突き付けられても表情一つ変えなかった黒装束の女が慌てている。
「────元々お姉ちゃんが家を継ぐ事になってたのであまり家のご先祖様の事とか、伝説とかしきたりとかはあまり詳しくないので………」
久眠が少し申し訳無さそうに上目遣いで黒装束の女に説明した。
「────え!?本気で言ってるの??ここ数日色々と華緒ちゃんと話しててなんかピンとくることなかったの!?一緒にお買い物行ったり、二人で仲良くご飯食べながら世間話とか家の事とか色々話してたよね!?」
黒装束の女かなり必死だな。
………しかし、なんかどこかで見てたんじゃないかってくらいだな。
────とりあえず面白いから、もう少しこのまま様子を見ようか。
「────いえ、特にこれと言ってピンと来ることは………お家が神社だって位しか共通することとか無かったですし」
「────もうっ!!それよ!!それ!!神社!」
黒装束の女が頭を掻きむしりながら久眠を指差す。
「────先触れとかの話題も出たでしょ!?」
「────言われてみればぁ………あれ?そんな話しましたっけ?」
久眠が華緒お嬢さんの方を見て首を傾げる。
「────ん〜?どうだったかな?したようなしてないような?」
華緒お嬢さんも首を傾げる。
「────あぁ、私の子孫って皆こんななのかしら…………」
黒装束の女が項垂れる。
────ん?私の子孫?
こりゃもしかして………??
それを聞いて久眠がポンっと手を叩いた。
────どうやら久眠が何か思いついたようだ。
「────もしかして、そう言う貴女は私のお母さん!?」
────久眠がボケをかます。
────本人はボケてるつもりはないだろうが。
────あんたは母親の顔もわからんのか?
………天然って怖いね。
「────久眠ちゃん、貴女の母親は
黒装束の女がこめかみに手をやりながら、さも呆れたような口調で久眠に問いかけた。
「ああっ!」
久眠が手をぽんっと叩く。
「────華緒さんのお母さん?」
「────%$×÷#!∞ρζ&¥!!」
言葉にならない声を発する黒装束の女。
「────諦めろ、あんたの負けだ」
もう面倒くさいので黒装束の女にそう宣告した。
「────そうね、今回のメンバーは全員私の思い通りには行かないメンバーだったわね。諦めてはっきり話をすることにするわ」
切り株に座っていた黒装束の女がスッと立ち上がった。
「────それでは自己紹介する事にするわ。名前は………色々有るのだけど………『時を渡る魔女』とか『千年女王』とか『卑弥呼』とか『星を渡る巫女』とか………」
────なんか、さらっとヤバイ単語が聞こえたみたいですが、聞かなかったことにしよう。
「────でも久眠ちゃんや華緒ちゃんなら『始まりの巫女』とか『
黒装束の女の目がキラリと光ったように見えた。
「────し、始祖様!?」
久眠と華緒お嬢さんさんの態度が変わった。
「────私の存在と言うモノが何かやっと伝わったようね………」
黒装束の女の態度も変わった。
少し持ち直して登場当初のミステリアスさを少し回復したようだ。
「────久眠、始祖様って?」
とりあえず小さい声で久眠に確認してみた。
「────始祖様は昔、宇宙から星を渡る船でこの国にやって来たと伝わる方で、人の心が読めたり、時間を巻き戻したり、一晩で山を消してしまったり………何より未来を予知する能力を持っていて………簡単に言うと、私の家の神社に祀られている神様で、私のご先祖様です!!」
────ふぅん、そう言う事か………。
ご先祖様ねぇ………って、確か久眠のとこの神社って相当歴史ある神社なんじゃなかったっけ??
────それが本当なら、その始祖様って事はこの女は一体何歳なんだ!?
────改めて黒装束の女を見てみる。
────どことなく久眠に似て………無いな。
でも、俺には黒装束の女が久眠の先祖であると確信した。
────黒装束の女の事を久眠達は『
始祖………しそ…シソ…
紫蘇と言ったらバジルとかと同じ種類のハーブのはずだ。
ハーブと言ったら俺にとってみたらスパイスみたいなもんだ!!
(暴論とか言うな!スパイスとハーブの違いはヨーロッパに自生してるかどうかの違いだってネットに書いてあったのをあれから調べたんだぞ!)
────と言うわけで、誰が何と言おうと黒装束の女は
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