半月

ましろな月の向う側

艶やかな花火が咲き乱れ

またはらはらりとなごり散る

墨川は光も映さずに

子らの嬌声を縫い流るる



――そこにあなたがいたのでしょう



ましろな月のこちら側

星明りを塗り消す電灯たちは

バチリと虫の命をも飛ばす

灰の川を走る車は

轟々と文明の音を蒸す



――そこにわたしがいたのです



半月でこれほど眩いから

わたしたちは互いが見えないのでしょう

半月でこれほど遠いから

わたしたちは互いにおもいを馳せるのでしょう

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