追放されたお荷物テイマー、世界唯一のネクロマンサーに覚醒する 〜ありあまるその力で自由を謳歌していたらいつの間にか最強に〜

第147話

「情報が極端に少ないわね」

　ミルムの言う通り、『栄光』に関する情報はほとんどない。

　騎士団が四階層で撤退したためフロアボスに関する情報すらないのだ。

　わかっていることはゴーレムが出現することと、そのゴーレムたちに物理無効と魔法無効が入り混じるせいで対処が非常に困難だったということ。

「ネクロマンスも使えない相手だしな」

「ゴーレムが相手ならば私のような騎士スタイルの力比べでもお役に立てるでしょうか？」

「そうね。これまでのようにゴリ押しはできないフロアボスもいるでしょうし、時間を稼いでくれるのはありがたいかもしれないわね」

　ミルムの言うように、ゴーレムのダンジョンは多くの場合力でねじ伏せるのではなく、謎解きのようなダンジョン攻略が求められる。

　ある意味では実力がなくても一攫千金を狙える夢のダンジョンなんだが、王都騎士団が撤退せざるを得ないほどの戦力とぶつかりながらでは普通は謎解きなんてしている場合ではない。

「ミルム頼みか……」

「むしろ貴方のほうが向いてるわよ」

「いや俺、自分で言うのも何だが頭が良い方ではない」

　自分で言ってて悲しいが事実だ。

　ミルムから辛辣な言葉で追い打ちをかけられる。

「本当にそのようね」

「う……」

「この地にはダンジョン攻略に来ていた冒険者もいるでしょう。それこそそういった、ダンジョンの謎解きを専門としていたトレージャーハンターが」

「ああ！」

　そうか。

「ロバート、冒険者だったアンデッドって……」

『こちらに』

　俺が言い終わる前にリストアップされた書類を渡してくるロバート。

　流石だ。

「この中に……」

　リストは持ち物から特定できた生前の情報と、現在どんなアンデッドになっているかという情報だった。

「グールだと謎解きは厳しいか……？　ゴーストだと数体か」

　ただ連れて行くには守り切る自信がない。

　考え込んでいるとアイルがこういった。

「ランドさんは使い魔をその時だけ呼び出すスキルを持っていましたよね？　それで必要なときだけ呼び出してはどうでしょう？　その間なら私が護衛を担当しますし」

『お嬢様は守る対象がいるほうが力を発揮するスキルを所持しておられますしな。それがよろしいかと』

「なるほど」

　なら任せよう。

「決まりね」

　ミルムが立ち上がる。

「いよいよダンジョン攻略……」

　アイルが緊張した面持ちでつぶやく。

「頼りにしてる」

「はいっ！」

　攻略開始は数日後。準備は進めていくとして、今日はひとまずそれぞれ休息を取ることになった。